なんと0・9秒台!涌井 究極のけん制技術 3つの要因

[ 2012年2月8日 13:04 ]

西武・涌井のけん制技術(1)

 投手の技術は投球だけではない。凡打にしなくともアウトを奪うことができる。西武・涌井秀章投手(25)は昨季、両リーグトップとなる5度のけん制アウトを記録した。

 その秘密は「素早いターン」「トップをつくるスピード」「小さなテークバック」にあった。極限まで無駄を省いた素早い動き。球界最高峰のけん制技術に迫った。

 体の向きを変えたと同時に、けん制球が送られる。一塁へのけん制はプロの世界でも1・1秒台で速いと言われるが、涌井は0・9秒台。けん制を苦手にする選手は1・4秒以上かかることも珍しくない。涌井が他の選手より優れている動きは主に3つある。

 (1)セットポジション セットポジションで開いた足の幅は狭い。外国人投手のように大きく足を開いた状態よりも、小さな円を描いてターンするためスピードが速い。

 (2)ターンの速さ さらに、けん制の際は通常、軸足(右足)の爪先を使ってターンするが、涌井は「爪先で回っている意識はありません。使っているのは足の真ん中くらい」と語る。より体の中心となる位置を軸に回転することで速く小さなターンが可能となる。

 (3)トップの位置をつくる速さ 右腕がターンとほぼ同時でトップにきている。涌井が「回ると同時に投げるイメージ」と最も重視している動き。渡辺監督も「ターンも速いけど、何よりトップにもってくる速さが優れている」と評する。

 (4)テークバックの小ささ 腕を伸ばしきってからけん制する選手もいる中、肘は畳んだまま。テークバックが小さいことも、トップを速くつくることができる要素だ。

 (5)必要最小限での華麗なフィニッシュ 杉本投手コーチは「動きが少ないから送球までの時間が短い。必要最小限の動き」と分析。今キャンプは二塁へのけん制が練習の中心だが「涌井の技術なら二塁でも十分アウトにできる」と太鼓判を押す。

 涌井は昨季、リーグトップとなる5つのアウトをけん制で奪った。しかも、ロッテ・岡田や楽天・内村ら走塁のスペシャリストばかり。けん制の技術があれば、走者を背負っても慌てることはない。

続きを表示

この記事のフォト

2012年2月8日のニュース