“達人”岡田が明かす外野守備極意…最初と最後の一歩 

[ 2012年2月4日 06:00 ]

およそ4メートルの距離を飛び最高点で捕球するロッテ・岡田

 昨季、外野手部門リーグ1位でゴールデングラブ賞に輝いたロッテ・岡田幸文外野手(27)の守備は「最初の1歩」と「最後の1歩」に重点を置く。その2歩を意識することで、広い守備範囲を可能にしているのだという。誰もが安打になると思った打球をグラブで仕留める技術。しっかりした準備と的確な予測が、唯一無二のパフォーマンスにつながっている。その「極意」に迫った。

 大飛球に向かって一直線に体ごと突っ込む。岡田のダイナミックな守備の本領だ。曲芸プレーも、実は緻密な計算と意識に裏付けられていた。

 「最初の1歩と最後の1歩を大事にしている。早い始動と球際での体の伸びが、ビッグプレーにつながると思う」

 (1)最初の1歩 投球前、捕手の構えるミットの位置と打者の打球傾向を総合して打球のコースを予測。インパクトの直前に半歩始動しながら、打球の質、強さ、落下地点をイメージしいてる。一度軽く跳ねて体を沈み込ませ、スタートの1歩目を意識的に大きく運ぶ。2歩目で加速をつけ、3歩目からトップスピードに乗せることができる。

 (2)最後の1歩 全速力で突っ込んで打球を視界に捕捉。走る最中の上下動で顎が上がって上体が浮く選手が多い中、岡田は低い姿勢を保ったままスピードを維持できるため最後の1歩で打球に追いつく。打球から目線を切る時間も長い。同じスピードタイプの伊志嶺は「岡田さんは滞空時間の8割ぐらい(目線を)切っている感覚。読みに自信がないとできない」と証言する。より遠くまで到達でき、広い守備範囲を生み出している。

 昨季、山森外野守備走塁コーチと取り組んだのは、立てたバットに顎を乗せた状態から始動する練習。低く安定した姿勢をつくるのが目的だ。阪急時代、外野フェンスに登って大飛球を好捕したプレーで米殿堂入りした名手でもある同コーチは「前は走っている間に徐々に上体が高くなっていた。打球は最後にナックルしたりするから、捕球体勢が勝負を分ける。低く打球に入る意識付け」と説明した。

 うつぶせに寝た状態から飛球を追う練習や、打球音だけを聞いて落下地点を予測して感覚を養うこともした。岡田は「ファインプレーの喜びより、捕れない悔しさの方が強い」。あくなき向上心が美技につながっている。

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2012年2月4日のニュース