松坂「悪くない」21球 マウンドで本能の“儀式”も

[ 2012年2月1日 06:00 ]

マウンドの感触を確かめるべく最初にシャドー投球を行うレッドソックス・松坂

 レッドソックスの松坂大輔投手(31)が30日(日本時間31日)、昨年6月の右肘の腱移植手術以来初めてブルペンでの投球練習を行った。マウンドからの投球は、最後の登板となった昨年5月16日のオリオールズ戦以来259日ぶりだ。体重も現在89キロと、「大型化」を図っていた09年シーズンと比較して6キロ減。無駄な部分をそぎ落とす肉体改造にも大きな手応えを感じており、6月以降とされるメジャー復帰へ向けて着実に歩を進めている。

 マウンドに立った松坂は、まず右足でプレートの土を払うしぐさをした。「勝 手に反応した。体に染みついている動作だと最初に思った」。最初に傾斜を確かめるようなシャドーピッチング。投手としてあるべき場所に戻ってきた喜びは、自然に笑顔となって表れた。

 「今日は慣らし運転みたいなもの。7割くらいで感触を確かめただけ。来週からですね、本格的には。投 げた感触は悪くなかったと思います」

 まずベースの手前に捕手を立たせて11球。最初の1球は踏み出した左足を置く感覚だったが、徐々にギアを上げた。捕手を座らせた時点で報道陣をシャットアウトし て10球。最後の2球は右足を強く蹴ってボールに力を込めた。非公開にした理由を「(内容が)どういう形になるか分からなかった」と松坂。久々の投球に不安があった。しかし腕を気持ち良く振っての21球が、そんな思いを吹き飛ばしてくれた。

 初めて体にメスを入れた。野球人生の岐路。松坂は復活へ向け、肘のケアだけでなく土台となる体自体の改造にも着手した。負荷の強いウエートトレーニングをやめ、ご飯も「こんにゃく入り」という徹底ぶり。夕食は炭水化物をとらない。体重は89キロ。大リーグ移籍後、パワーをつけるため一時は95キロ前後まで増やしたものを逆に絞っている。当初の「あと2年くらいかけて大きくしてから、体の強さを保ちつつ(体重を)落とそうと考えていた」という長期計画を前倒し。「今では食べても、トレーニングを積んでも、自然と絞れるようになった。体は楽に動いている」。一度身につけたパワーを減らすことなく、体を絞る肉体改造。さらに減量を進めることで西武最終年(06年)の86キロに近づいていくが、中身はまるで違う。

 今後は中1日での遠投を挟み、3日(日本時間4日)に2度目のブルペン投球を行う。来週には現施設から約10キロの距離にある新キャンプ地に移動し、より本格的なブルペン投球を開始。「しっかり投げられるようになってからが大事な時期になってくる」。フォームのチェックなど、細部の確認作業に突入する。6月以降のメジャー復帰へ、松坂は一切の妥協なく自らを磨き上げていく。

 ☆松坂のこれまでの経過☆

 ▼11年5月16日 本拠地でのオリオールズ戦に先発も、4回1/3を5失点。本人は「(直球の手応えが)全くない。原因は分からない」。翌17日に故障者リスト入り。

 ▼同31日 ロサンゼルス近郊の病院で右肘の検査を受ける。

 ▼6月2日 右肘の腱移植手術を受けることが正式決定。

 ▼同3日 アスレチックス戦の際の練習で、手術前最後のキャッチボールを行う。

 ▼同10日 手術を受け無事成功。復帰へ向け「1日も無駄にしない」とコメント。

 ▼同24日 フロリダ州で本格的なリハビリを開始。

 ▼10月3日 122日ぶりとなるキャッチボールを行い、39球を投げる。

 ▼11月18日 フロリダ自主トレ打ち上げ。以降はボストンで練習。

 ▼12年1月5日 フロリダ州でリハビリを再開。年明け初のキャッチボールは20球。

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2012年2月1日のニュース