黒田ヤンキース入り 最大の理由は「世界一狙える球団」

[ 2012年1月15日 06:00 ]

ヤンキースと1年契約で合意した黒田

 ヤンキースがドジャースからFAの黒田博樹投手(36)と1年契約で合意したことが分かった。13日(日本時間14日)、複数の米メディアが伝えた。年俸は1100万ドル(約8億4700万円)とみられ、週明けにも正式発表される。またこの日マリナーズと2対2の交換トレードを成立させ、マイケル・ピネダ投手(22)を獲得。昨季弱点だった先発陣を立て直し、09年以来3年ぶりの世界一へ戦力は整った。

 黒田が新天地に選んだのは、30球団で最多の世界一27度を誇る名門だった。先発投手強化が急務のヤンキースが、獲得候補を黒田に一本化したことで交渉が一気に進展。米FOXスポーツは14日付で「ブライアン・キャッシュマンGMは13日に報道陣に対し、補強状況に変わりはなく“どうやったら現有戦力から上積みできるのか”と話していたが、答えはわずか24時間後に出た」と急展開だったことを明かした。

 球団売却の影響でドジャースとの契約交渉が思うように進まずに始まった今オフ。ド軍が財政難で再契約が厳しくなると「時間の許す限りじっくり考えたい」と古巣・広島復帰も含め熟慮を重ねた。最終的にはワールドシリーズ制覇という目標達成のためメジャー残留を決意。今月初旬に広島に断りの連絡を入れた。

 球団関係者によると、ヤ軍を選んだ最大の理由は「世界一を狙える球団」だという。レッドソックスやレンジャーズ、ダイヤモンドバックスやロッキーズなど複数球団が獲得に動き、好条件を提示。年俸だけならヤ軍の提示を上回る球団もあったが、金銭面以上に大事なものがあった。

 ヤ軍は昨季自己最多の202イニングを投げ、13勝を挙げた黒田を高く評価。サバシアに次ぐ2番手、右のエースとしてフル回転を期待している。またこの日、ヤ軍は交換トレードでマリナーズからドミニカ共和国出身のピネダを獲得。昨季イチローが「ちょっと規格外な感じで怪人っぽい。楽しみ」と絶賛した2メートル1、118キロの22歳右腕で、最速は98マイル(約158キロ)。昨季新人ながら16勝を挙げたノバと並び、次世代を担う逸材だ。黒田とピネダの両獲りに成功し、地元ニューヨークのメディアは「弱点だった先発陣を解消し、一気に投手王国へと変貌した」とそろって伝えた。

 契約は近日中にも正式発表される見通し。開幕カードとなる4月6日からのレイズ3連戦でのデビューが期待される。

 ▼ヤンキースに所属した日本選手 第1号は伊良部秀輝で97年に入団して3年間で29勝。03年に入団した松井秀喜(アスレチックスからFA)は、7年間で打率.292、140本塁打、597打点の成績を残し、09年のワールドシリーズではMVPに輝く活躍で9年ぶりの世界一をけん引した。07年入団の井川慶が2年間で2勝にとどまり、09年以降はメジャー登板なし。今オフには昨季までレッドソックスの岡島秀樹がマイナー契約を結び来月の春季キャンプに招待選手として参加する。

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2012年1月15日のニュース