中島破談…ヤ軍「1年契約満了後にFA」の条件認めず

[ 2012年1月7日 06:00 ]

ヤ軍との契約が不成立に終わった中島

 ヤンキースは5日(日本時間6日)、ポスティング・システム(入札制度)で独占交渉権を獲得した西武・中島裕之内野手(29)との交渉が合意に達しなかったと発表した。中島のニューヨーク到着から3時間足らずでの一方的な打ち切り。ヤ軍の条件提示はわずか80万ドル(約6160万円)で、1年契約満了後のFA権の付帯条件も認められなかったことが破談の原因だった。

 最後の望みを託して中島がニューヨークのケネディ国際空港に到着したのは午前9時32分。間もなくして、ロサンゼルスにいる代理人のグレグ・ゲンスキー氏へ、ヤンキースから一方的に交渉を打ち切る連絡が入った。午後0時26分。ヤ軍はブライアン・キャッシュマンGMの「残念ながら契約合意できなかった。来るべきシーズンでの健闘を祈る」との声明を発表した。わずか2時間54分後の出来事だった。

 ゲンスキー氏はニューヨークへ移動し、独占交渉期限最終日の6日に中島本人と会談した上で、期限となる同日午後5時(日本時間7日午前7時)ギリギリまで交渉を行う考えがあった。

 提示された条件は1年契約で年俸は80万ドル(約6160万円)前後。今季年俸2億8000万円の4分の1以下だ。それでも「中島は年俸も理解し、控えでも活躍して評価を上げればいいと考えていた」(関係者)という。決裂の理由は、金額とは別の部分にあった。

 複数の大リーグ関係者は「ヤンキースは最後まで保有権にこだわった」と明かす。中島サイドの「1年契約満了後にFA」の要望に対し、ヤ軍は「(自動的にFAとなるまでの)6年間の保有権は捨てない」との主張を曲げなかった。それでは限られた出場機会で結果を出しても、ヤ軍ではレギュラーの道は開けない。遊撃手にジーター、三塁手にロドリゲスのスター2人がいるからだ。

 ヤ軍からすれば、中島は「控え野手」としての入札だった。実際、日本でプレーをチェックしたのは数回だけ。1年後にFA権を与えることなど到底できない。キャッシュマンGMは「あくまでチームの判断する価格に合うかどうか」と話す。ポスティング制度自体に否定的な同GMの「適正価格」へのこだわりも、決裂の要因だった。

 中島は西武を通じて「契約が不成立となり、とても残念ですが、今回ポスティングを認めてくれた埼玉西武ライオンズと入札をしてくれたニューヨーク・ヤンキースには感謝しています」との談話を発表した。思いは届かなかった。ヤンキースタジアムに立ち寄ることなく、近日中に帰国の途につく。

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2012年1月7日のニュース