初夢を正夢に…杉内、狙うぞ史上初の両リーグ沢村賞

[ 2012年1月2日 06:00 ]

優勝を祈願する杉内

 初夢は、史上初の両リーグ沢村賞――。ソフトバンクから国内フリーエージェント(FA)宣言した杉内俊哉投手(31)が、4年総額20億円の大型契約で巨人に移籍した。新天地で迎える2012年。目標は初春の青空よりも高く、球界史上初の両リーグでの沢村賞受賞だ。東京ドームのマウンドは傾斜がきつく、より変化球が効果的に決まると分析。05年に沢村賞を受賞した左腕が巨人仕様の投球術で、栄光の背番号18を背負って球史にその名を刻む。

 目指す頂は、高ければ高いほどいい。プロ11年目。巨人の一員として新たなスタートを切る杉内は、きっぱりと言った。

 「両リーグで沢村賞を獲得した選手はまだいません。自分にはそのチャンスがある。物凄く大変なことですが、やるからにはチャレンジしてみたい」。謙虚な言い回しながらも、その目は真剣そのものだった。

 杉内はソフトバンク在籍時の05年に沢村賞を受賞。「1月の自主トレでキャッチボールをした時から感じが良かった」と振り返るように、いきなり4、5月と連続で月間MVPに輝いた。その後も好調を維持。18勝4敗、防御率2・11、218奪三振の成績で、パ・リーグの左腕では初となる栄冠を手中に収めた。

 沢村賞は47年制定。50年の2リーグ制後はセ・リーグのみとなり、89年からパ・リーグの投手も選考対象となった。最多は金田正一、斎藤雅樹ら4人の3度だ。投手の個人タイトルでは最高の栄誉とされる。杉内が今季獲得すれば2度目だが、初の両リーグ受賞となればまさに偉業。挑戦するだけでも価値はある。

 しかし左腕にとっては「夢」ではない。その頭の中では、既に新たな本拠のマウンドに立つ自分の姿を想像している。「東京ドームのマウンドは傾斜がきつい。交流戦のときもそうだったけど、変化球がよく決まる」。140キロ台前半の直球にチェンジアップ、スライダー、カーブをコンビネーションよく投げ込んでいくのが左腕の特長。マウンドから打者に対して角度がつくことで、宝刀のチェンジアップもより鋭く落ちる。「ヤフードームと似ていて、僕には投げやすい球場」と自信はある。

 3日からは鹿児島県薩摩川内市で自主トレを行う。東京での住居探しや長男の小学校選びは、えりか夫人(30)に任せている。「背番号18がふさわしい、と認めてもらえるよう、野球に集中したい」。史上初の快挙を成し遂げれば、杉内は誰もが認める新たな巨人のエースとなる。

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2012年1月2日のニュース