DeNA 春田オーナー「楽天さんは想定外」「勝敗と動員はリンクしない」

[ 2012年1月1日 07:03 ]

プロ野球への新規参入が決定し、会見で笑顔を見せたDeNA春田会長

 今月1日のオーナー会議で正式に球界参入が承認され、新たに船出したDeNAベイスターズ。4年連続最下位と低迷が続くチームの若き新オーナーとなった、DeNA会長でもある春田真氏(42)は球団を、そして球場をどう変えていこうというのか。買収劇の舞台裏、球界に新風を吹き込むべく今後の改革案…。その胸のうちを聞いた。

 ――正式参入から約1カ月。環境の変化は。

 「中華街にいた時、(ファンから)あっ会長だ、と。寿司店とかマッサージとか髪切りに行くと、そんな人だったんですかって言われる。まあ、そこは面倒くさくなった。工藤さんの時(※注1)は、箱根に行ったのに高田(繁)さん(ゼネラルマネジャー=GM)から電話かかってきた。ゆっくりできねえじゃん(笑)」

 ――そもそも球団保有に至ったきっかけは。

 「球団経営を強く“しよう”と思ったことは、ぎりぎり最後までない。一番最初は、TBSさんから話があったから。3、4年前かな。去年は住生活(グループ)さんでしたけど、同じようなタイミングで話をもらっていたので。去年そういう状況になって初めて、ちゃんと球団を持つということを考え始めた」

 ――住生活とは結局、破談になった。その際にTBS側から話は。

 「ありましたけど、それからウチに公取の話(※注2)が出たから、それどころではない。11月には海外(企業の)買収もしていた。(年明けも)僕らは海外にかかりきり。野球は一切考えていなかった」

 ――今年の買収話はいつから。

 「8月からですね。9月1日からかな、本格的に考え始めたのは。特に去年の話もあって、横浜市との関係もあって、どう整理するかなと。12月1日のオーナー会議は知っていたから、まだ時間はあるやんという感じかな。だいたいウチのM&Aは1、2カ月だから。金額の交渉ではないですよ。今のマイナス部門を解消できるのかとか、考えるくらい。シンプルですよ。本気で考えだすと早い。あとはリスクをどう背負うかだから」

 ――参入の際は反対意見もあった。

 「楽天は同じネット経営で、もともと賛成してくれると思っていた。古いところからは(反対意見が)あると思っていたけど、楽天さんは想定外ですよね」

 ――先ほどの「リスク」という部分で、チームの低迷もあるが。

 「それは全然関係ない。優勝しているとビジネスが拡大しているとか、6位と1位でこれだけ差がありますとかではないので。低迷しているからどうとかの判断はない」

 ――というと?

 「勝ち負けだけではない。厳密には連動しない。収入はリンクしない。例えば広島がそう。ウチが定位置にいるからその上だけど、スタジアム変わって(観客動員が)アップしている(※注3)。球場に行く目的はチームを見に行くのが当然だけど、プラスアルファがあって、エンタメ的な、総合的につくる。お客さまに魅せる。強くするのも当然だけど、強くても客が来ないときは来ない」

 ――具体的には?

 「スタジアムをきれいにしましょう、人が来ることでお金を使ってもらいましょう、と。飲食とかお土産とか。ディズニーランドがそうでしょう?1人当たりどれだけお金を落とすか。あくまで球団あっての球場という話はしたい。(球場の改善は)一番やりたいこと。仙台(Kスタ宮城)とかマツダとかね、甲子園ですら変わってきている。みんな喜んでいる。良いことは学ぼうよ、と。複雑でも奇抜でもないですよ。できるならあすにでもやりたい。早めにスタジアムとか市とかと話したい。新規事業のときは大抵そうですけど、3年で黒字化と。まあそういう話はしている」

 ※注1 12月5日、高田GMが自身の就任会見で、新監督候補だった工藤公康氏との交渉を打ち切ったことを明かした。

 ※注2 昨年12月、取引先のゲーム開発会社に対して、競合するゲームサイト「グリー」にゲームを提供しないよう圧力をかけたとし、公正取引委員会による立ち入り検査を受けた。今年6月に独占禁止法違反(取引妨害)に当たるとして排除措置命令を受け、11月21日にはグリーなどがDeNAに対して計10億5000万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。

 ※注3 09年の開場初年度のマツダスタジアムの観客数は、前年比34・7%増の187万3046人だった。

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2012年1月1日のニュース