【11年球界物故者】尾藤公さん 死の半年前 甲子園で星稜戦「ふるさと風景」

[ 2011年12月30日 14:05 ]

箕島―星陵の延長18回の激闘当時のナインらによる記念試合後に笑顔を見せる尾藤公さん。2010年09月撮影

2011年物故者追悼

 尾藤さんは亡くなる約半年前の10年9月23日、甲子園で行われた箕島、星稜両校OBによる記念試合に姿を見せた。

 衰弱して体が小さくなり、車椅子に乗っているのがやっとの様子だった。よろめきながら立ち上がってベンチに腰を下ろすと監督時代と同じ目線でグラウンドを見渡した。

 「死」が足音を立てて迫り来る中、思い出の地を前に名将は何を思ったのか―-。「ふるさとの風景ですね。心のふるさとですわ」

 晩年は日本高野連技術・振興委員長として一人でも多くの球児に「ふるさと」を体感してもらうべく尽力した。自らが塾長を務めて08年に開講した「甲子園塾」は今回で4回目を迎えた。塾長亡き後も変わることなく、全国各地の若き指導者たちが一堂に会して甲子園出場経験豊富な名将たちに教えを請うた。故人が先べんをつけた同塾は今後も後進たちに「ふるさと」へとつながる道を示し続ける。

 今回の開講式で、あいさつに立った前星稜監督の盟友・山下智茂2代目塾長(66)はあらためて「塾長は尾藤公です」と語気を強めた。尾藤さんの「魂」は、脈々と受け継がれる。

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2011年12月30日のニュース