【11年球界物故者】伊良部秀輝さん 投げることが大好きだった“問題児”

[ 2011年12月30日 13:22 ]

メジャーデビュー戦を白星で飾ったヤンキース時代の伊良部秀輝さん

2011年物故者追悼

 問題児扱いされたが、彼ほど野球に情熱を注いだ人はそうはいない。印象に残っているのは、05年3月の引退発表から4年がたった09年6月のこと。当時、現役復帰を目指して独立リーグに参戦していた伊良部さんを取材した。

 復帰の決め手になったのは同年3月の第2回WBC。日本―米国戦をネット裏最前列で観戦して「球場で野球を見るのは久しぶりだったんですけど、松坂君や岩隈君の投球を見て、凄くレベルが高いのに感心した。見ていて楽しかった」。

 引退後はうどん店を経営するなど多忙で、ブランクは大きかったが「もう40歳だし、なんでもやってみようとね。元来、投げるのが好きで、その基本的な部分を一番大事にしようってね」。

 かつてのヒールアップのフォームをやめ、トレーニングも体幹強化に重点を置いた。稲尾、金田の時代にはなかったからと、アイシングもやめた。40歳にして全てが新しい試み。それでも復帰へのこだわりを語る彼の目は、輝いていた。あの日の明るく情熱的な伊良部さんを、私は忘れることはない。

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2011年12月30日のニュース