楽天は最後まで反対も…11球団賛成でDeNA承認

[ 2011年12月2日 06:00 ]

 プロ野球のオーナー会議(島田亨議長=楽天オーナー)が1日、都内ホテルで開かれ、横浜球団の買収を決めた交流サイト運営大手、ディー・エヌ・エー(DeNA)の参入を承認。新球団「横浜DeNAベイスターズ」が誕生した。約3時間半に及んだ会議では、反対の立場だった楽天が最後まで抵抗。難産の末、11球団が賛成し参入を承認した。04年オフにソフトバンクが福岡ダイエーホークスを買収して以来7年ぶりの新球団は、前途多難の船出となった。

 午後2時に始まったオーナー会議が終わった時、時計の針は午後5時半に近かった。プロ野球コンベンションの開会まであと30分強。熱のこもった約3時間半、そのうち1時間半以上がDeNAの参入問題のために費やされた。「これだけ実質的な議論を行ったオーナー会議は私の経験にない」。加藤良三コミッショナーは言った。

 事前にオーナー宛てにメールで配信された資料はプリントアウトすると70枚にも及んだという。ほとんどが参入に当たっての懸念事項。反対の立場を取ってきた楽天が問題提起してきた事業の健全性や法令順守などについてで、さまざまな問題点を念頭に置いて激論が交わされた。午前9時から同じ会場で行われた臨時実行委員会でも同様の議論が行われ、臨時実行委とオーナー会議それぞれに別室で待機していたDeNAの春田会長が途中で入室。10日の12球団による審議、22日の臨時実行委に続いて3度目のヒアリングは午前午後の2部にわたって行われ、いずれも入念な質疑応答が約30分も行われた。

 オーナー会議のヒアリングについて、島田議長は「基本的にはいろんな懸念事項があり、それについて全球団がきちんと議論した」と説明。質問は楽天以外の複数球団からもあり、ロッテ・重光昭夫オーナー代行によると「春田会長は自分の言葉でしっかり答えていた」という。ただ、厳しい意見が飛び、参入後の業務内容に注文を付ける球団もあったという。さらにプロ野球は文化的公共財という観点から、襟を正した球団運営を求める言葉も投げかけられた。

 決議対象に利害関係にある横浜を加えるか否かの問題は、加藤コミッショナーが野球協約第10条に基づき12球団とする考えを示し、最後は12球団のオーナーがそれぞれの考え方とともに賛否を表明していく形で議決を行った。その結果、反対したのは楽天1球団。他の11球団が賛成し、11対1で参入承認となった。オーナー会議後、春田会長に「おめでとう」と握手を求めた横浜・笹川博史取締役は「ちょっと難産だったけど、やっと誕生した」と言った。

 04年の楽天、ソフトバンクの参入は全会一致の承認。今回は賛成11球団の中に条件付きで賛成した球団もある。反対の立場を貫いた島田議長は最後に「新陳代謝は大事なこと。新しい血が入るのは大変喜ばしいことだと思う」と締めた。それはDeNAに期待すればこその言葉だった。

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2011年12月2日のニュース