西本イズム継承誓う 岡田監督、有田虎ヘッドら通夜参列

[ 2011年11月29日 06:00 ]

西本さんの通夜では在りし日の映像が映し出された

 大毎(現ロッテ)と阪急、近鉄(ともに現オリックス)の計3球団で監督を務め、25日に心不全のため91歳で死去した西本幸雄氏の通夜が28日、兵庫県西宮市の斎場で営まれた。西本監督の下、阪急、近鉄で黄金時代を築いた主力メンバーをはじめ、オリックス・岡田彰布監督(54)ら球界関係者350人が参列して別れを惜しんだ。法名は「慈徳院釋将幸(じとくいんしゃくしょうこう)」。葬儀・告別式は29日に行われる。

 供花に囲まれて祭壇に飾られた西本氏の遺影写真は、やさしくほほ笑んでいた。斎場には阪急、近鉄で指揮を執っていた当時の映像が流れた。約350人の弔問客は、大毎も含めて監督として通算20年、3球団でリーグ優勝8度を成し遂げながら日本シリーズで一度も勝てず「悲運の名将」と言われた西本氏との思い出に浸り、そして涙した。

 阪急、近鉄の流れをくむ現在のオリックスで指揮を執る岡田監督は「私の場合は西本さんがユニホームを脱がれた後のお付き合いでしたが、食事にゴルフ、グラウンドに来られた時も本当にたくさんのお話をして、監督としての勉強をさせていただきました」としみじみ振り返った。自身は現役時代、主に阪神で活躍。監督と選手として、西本氏と一度も同じユニホームを着たことはなかった。「西本さんの下でやった阪急や近鉄の選手たちは本当に幸せだなって思います」と声を震わせた。

 西本氏が率いた前身時代に黄金時代を築いたチームは96年以降、リーグ優勝から遠ざかっている。岡田監督が就任してからも昨季が5位で今季が4位。「野球界のいいお手本なので引き継いで、自分たちが盛り上げて引っ張っていきたいですね」と話した。

 また、近鉄時代の教え子でもある阪神・有田新ヘッドコーチも「私がユニホームを再び着たのを、もう少し見ていただきたかった」と残念がった。今オフの就任会見では厳しく鍛え、愛情を持って選手と接する「西本野球」の継承を宣言していた。西本氏も「灰色」と呼ばれた阪急、「お荷物」と呼ばれた近鉄の弱小球団を情熱的な指導で鍛え上げていずれも初優勝に導いた。

 「安芸での秋季キャンプで暗くなるまで練習させていたら、宿毛(近鉄キャンプ地)で日が暮れるまでやったのを思い出した。上(天国)から見ていてくれるだろうし、応援もしてくれるでしょう」と有田ヘッドコーチ。4位からの巻き返しを目指す、今の阪神にこそ「西本野球」が必要だと感じている。

 野球への愛情あふれる西本氏の言葉を聞くことはできないが、「西本イズム」「西本野球」は球界にしっかりと受け継がれていく。

 <主な参列者>足立光宏、住友平、大熊忠義、長池徳士、大橋穣、中沢伸二、福本豊、山田久志、加藤秀司、山本一義、小川亨、平野光泰、佐々木恭介、有田修三、栗橋茂、村田辰美、太田幸司、梨田昌孝、羽田耕一、藤瀬史朗、村上隆行、岡田彰布、星野伸之、安藤統男、竹之内雅史、黒田正宏、上田二朗、田尾安志=順不同、敬称略=

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2011年11月29日のニュース