多村恩返し弾 落合監督直伝の神主打法で1号2ラン

[ 2011年11月16日 06:00 ]

<中・ソ>4回、1号2ランを放った多村はナインの出迎えに笑顔を見せる

日本シリーズ第3戦 ソフトバンク4―2中日

(11月15日 ナゴヤD)
 12球団No・1打線がお目覚めだ。「コナミ日本シリーズ2011」第3戦は15日に舞台をナゴヤドームに移して行われ、本拠地で2連敗して敵地に臨んだソフトバンクは、1―0の4回に多村仁志外野手(34)が値千金の2ラン。01年に「臨時コーチ」として指導を受けた中日・落合博満監督(57)に「恩返し」の一発となった。猛打賞の多村を中心に、第1、2戦で計20イニングで2得点と沈黙していた打線は12安打と復調。これで対戦成績を1勝2敗とし、日本一への戦いは白熱してきた。
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 一振りでうっぷんを晴らした。敵地で上がったお立ち台。プロ17年目で日本シリーズ初出場となる多村は安どの笑顔で、ソフトバンクファンの大歓声に応えた。

 「いろいろ考え過ぎずに、甘い球が来たら迷いなくバットを振ろうと思っていた。自分がびっくりするぐらい、本当に気持ちいい打球が飛んでくれた」

 1点リードの4回無死一塁。ネルソンの2球目、シュート回転して真ん中へ入ってきた140キロ直球を強振した。打球は美しい放物線を描きながら左中間席へ。今シリーズ1号2ランに「1、2戦目が力んだので、何とかつなごうと思った」。2回に三塁内野安打、6回には中前打を放つなど3安打と固め打った。

 本拠地連敗スタートの責任を痛感していた。第1戦はサヨナラ機に凡退、第2戦も2度の得点機に倒れるなど計8打数1安打。それでも、秋山監督の信頼は不変だった。前日の全体練習中に「おまえは考え過ぎ。思い切り楽しめ。サインを出さないということは打ってほしいということ。ホームランをな」と声を掛けられて吹っ切れた。実は10月6日のロッテ戦(QVCマリン)で自打球を左足小指に当て骨折していたことが判明。痛みをこらえながら試合に出続けるベテランを、野球の神様は見捨てたりはしなかった。

 今季限りで退任する中日・落合監督にも最高の恩返しができた。横浜時代の01年キャンプで3日間、落合監督が臨時コーチを務めた際に弟子入り。1日2時間のマンツーマン指導を受け、落合監督の代名詞とも言える神主打法に変えた。「落合さんが自分のバッティングをつくってくれた。(落合監督の目の前で)本塁打を打てたことがうれしい」と恩返しの一撃となった。

 今シリーズ2試合計20イニングでわずか2得点だった打線が、12安打で4得点とようやく目覚めの時を迎えた。秋山監督は「1勝するのは本当に大変だな。一発が効いたし、うまいこと、つながれば得点もできてくる。ウチらしい野球ができた」とホッと一息ついた。3戦目にして挙げた今シリーズ初勝利。多村は「あしたも自分の持っている全てのパフォーマンスを出して勝利に貢献したい」と日本一へ反攻を誓った。

 ▼多村と落合監督 多村が横浜に在籍していた01年の沖縄宜野湾キャンプに、当時評論家だった落合監督が臨時コーチとして参加=写真。初日に2時間半のマンツーマン指導を受け、最終日には特打に志願参加した多村は「間の取り方を教えてもらい、凄くためになった」とアドバイスに感激。「打つときにいかに力を抜いて打てるか」という落合理論を参考に打力アップにつなげた。

 ≪横浜時代は出場せず≫多村は今シリーズ第1戦は先発・チェンに2三振など完璧に封じられ、浅尾と対した9回2死一、二塁のサヨナラ機では遊直に倒れた。第2戦の7回、吉見からようやくシリーズ初安打を放って第3戦の爆発につなげた。なお横浜時代の98年にチームは西武との日本シリーズを制して日本一となったが、多村自身は前年に手術した右肩のリハビリ中だったため出場はなかった。

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2011年11月16日のニュース