清武英利という男 社会部敏腕記者 曲がったこと 一貫性のないこと嫌う

[ 2011年11月12日 08:00 ]

弁護士の吉峰氏(左)を同席させ告発文を読み上げる巨人・清武球団代表兼GM

巨人・清武球団代表 渡辺球団会長批判

 清武球団代表は曲がったこと、一貫性のないことを嫌う。読売新聞社で社会部記者として警視庁捜査2課や国税庁を担当。証券会社の損失補填(ほてん)問題など経済事件の取材などを数々手掛け、周囲の評は「正義感が強く、綿密な取材をする記者」だった。

 また、東京本社運動部長だった04年にストライキや球界再編問題を受けて「野球は生き残れるか?」という連載を開始。記者時代から妥協を許さない取材に定評があったが、球界の問題点を鋭く突いた同連載が上層部の目に留まり、同年8月に巨人の球団代表に抜てきされた。

 学生時代に野球経験はなし。プロ野球に関する文献や書物を読みあさり、独自の育成システムを確立するなどして球団代表としての地位を築き上げた。05年には育成制度の導入にも尽力。声明文に「補強一辺倒の強化策からの脱皮をはかってきました」と明記したように、理想のチームをV9時代のようなファンに愛される常勝軍団に設定した。

 2軍スタッフとも密に連絡を取るなど、補強と育成のバランスを取りながらチームを強化。07年からはリーグ3連覇も達成した。現場は08年オフに井口(現ロッテ)、昨オフに松井稼、岩村(ともに現楽天)らメジャー帰りの選手の補強を希望したが「むやみな補強をすれば過去と同じ」と突っぱね、大田、藤村ら若手の「伸びしろ」に期待した。今年6月からGM兼任となり、編成部門の責任者としての立場が明確になったことで、「成績が悪ければいつでも辞める覚悟はある」と決意も語っていた。

 2年連続でV逸したこともあり、常に「辞表」を出す覚悟を持ってチーム編成にあたっていた清武氏にとって、渡辺会長は決して「アンタッチャブル」な存在ではなかった。

 新聞社時代の部下の1人は「上だけで物事を決めたりするのが嫌いな人。清武さんらしい」と今回の行動に理解を示した。

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2011年11月12日のニュース