青木のメジャー挑戦容認へ「食い入るような視線だった」

[ 2011年11月9日 06:00 ]

ポスティング・システムでのメジャー移籍を容認された青木

 青木の熱意が伝わった!ヤクルトの衣笠剛球団社長兼オーナー代行(62)は8日、東京・新橋の球団事務所で会見を開き、青木宣親外野手(29)が熱望していたポスティング・システム(入札制度)によるメジャー挑戦を容認する方針を示した。7日夜に青木と直接会い、同制度を利用したいとの申し入れがあったことを明かした。9日に堀澄也オーナー(76)、小川淳司監督(54)らと意見調整を行い、10日に正式発表する。

 CSファイナルS(ナゴヤドーム)での敗退から2日後。衣笠球団社長兼オーナー代行は午後5時半から急きょ会見を行い、青木のメジャー挑戦を容認する方針を明言した。「本人の強い希望もあるし、長年にわたっての貢献度は十二分に認識している」とした上で「私としては前向きに考えてあげたい」と話した。

 緊急会見に至ったのは、青木との直接会談が実現したためだ。球団幹部は7日に愛知県名古屋市から新幹線で帰京。その際、青木から「できる限り早くお話ししたい」と電話連絡が入り、同日夜に都内で30分ほど会談したという。青木は早大時代からメジャー挑戦の夢を抱いていたことを説明し「ぜひともお願いしたい」と入札制度の適用を要望。衣笠社長は「強い口調というか食い入るような視線だった。きちっと受け止めたい」と青木の熱意に理解を示した。

 青木は06年オフに球団側へメジャー容認を申し入れたが、07年に就任した鈴木正前球団社長兼オーナー代行(現相談役)が入札制度の適用を認めない方針を貫いたため、一時凍結。早ければ2013年に取得する海外FA権まで待たなければならない状況だった。しかし、今年6月に就任した衣笠社長は態度を軟化。今季は打率・292に終わったが、プロ8年間で首位打者3度、シーズン200安打2度というチームへの貢献度を考慮し、今回の容認へとつながった。

 9日に堀オーナー、小川監督らと最終確認を行うが、チーム運営の責任者である大木勝年球団常務は「私が口を出すことではない」と上層部の決定に従う方針。小川監督も以前から「個人としての意見だが、青木の年齢のことも考えれば行かせてあげたい気持ちはある」と理解を示しており、移籍容認に支障はないとみられる。

 青木はこの日、神宮クラブハウスを訪れて荷物整理。10日の正式決定を待って、安打製造機がいよいよメジャーに挑戦することになる。

 ◆青木 宣親(あおき・のりちか)1982年(昭57)1月5日、宮崎県生まれの29歳。日向から早大に進み、3年秋の六大学リーグ戦で首位打者。鳥谷(現阪神)らと同期で、早大初のリーグ4連覇に貢献。03年ドラフト4巡目で、ヤクルト入団。05年にプロ野球史上2人目、昨季は史上初となる2度目のシーズン200本安打を達成した。首位打者3度、最多安打2度、最高出塁率2度のほか、05年新人王、06年盗塁王など、多数のタイトル獲得。1メートル75、80キロ。右投げ左打ち。

 ▽ポスティング・システムの流れ 申請期間は11月1日から翌年3月1日まで。球団がコミッショナーを通じて、同制度行使の旨を米コミッショナーに通知。米30球団に選手名を公示する。獲得を望む米球団は4営業日以内に入札する必要があり、最高額が日本側に通知される。日本所属球団が4営業日以内に受諾すれば、落札米球団に30日間の独占交渉権が与えられる。交渉が合意に達すれば5営業日以内にその金額を日本の球団に支払う。契約不成立の場合、選手は翌年11月1日までポスティング申請はできない。

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2011年11月9日のニュース