杉内 悔し涙からうれし涙に…「勝って救われた」

[ 2011年11月6日 06:00 ]

<ソ・西>10回、先制点をを許し降板した杉内はベンチで肩を落とす

パCSファイナルS第3戦 ソフトバンク2-1西武

(11月5日 ヤフーD)
 鬼気迫る投球が途切れた。10回1死二塁。ソフトバンク・杉内の127球目だった。フェルナンデスに左翼線二塁打を浴びて均衡を破られた。交代を告げられた瞬間、左腕はマウンド上で涙を流した。ベンチに戻っても周囲をはばからずに肩を震わせて泣き続けた。

 「悔しかったに決まってるじゃん。ただ勝って良かった。勝って救われた。ハセ(長谷川)には感謝したい」。劇勝を収めたナインに感謝した。

 4回2死から10回1死まで1人の走者も出さなかった。シーズン終盤に左肩痛で戦線離脱した影響は残っていた。中盤以降は直球も130キロ台前半まで球速が落ちた。「思い切り投げても133キロだもんね」と振り返ったが、変化球で丁寧にコースを突き、緩急ある投球で西武打線を抑え込んだ。

 涙のわけは言葉通り「悔しさ」だ。過去プレーオフ、CS10試合で1勝5敗。左腕の出来がチームのポストシーズン敗退の歴史をそのまま象徴してきた。この試合で敗れればプレーオフ、CS史上最多の6敗目を喫するところだった。ケガもあった今季は8勝(7敗)止まりで5年連続2桁勝利にも届かなかった。そのシーズンの締めくくり。チームの快進撃を止めかけた失点に、涙を流すほどの責任を感じていた。

 だが10回の同点劇で涙が止まり、12回サヨナラ勝ちの瞬間は、笑顔が交じったうれし涙に変わっていた。祝勝セレモニーでは泣き虫エースをみんながからかった。「やっぱり勝たないと、面白くないよ」。そう言い続けてきたシーズン。勝利投手にはなれなかったが、チームが勝ったことが一番うれしかった。

 03年の阪神戦以来、自身2度目の日本シリーズが待っている。2戦2勝と相性がいい最高の舞台に、杉内が再び帰ってくる。

 ≪杉内単独ワースト逃れる≫杉内(ソ)が9回1/3を1失点の力投。杉内はプレーオフ、CS通算で5敗(1勝)を喫しており、これは元同僚の斉藤和巳と並ぶワーストタイ。敗れていれば単独ワーストとなるところだった。この日は勝てなかったが、日本シリーズでは03年に2戦2勝でMVP。初登板からの連勝を3に伸ばせばチームでは杉浦忠が59年に4連勝して以来となるがどうか。

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