小川監督サプライズ連発…今季0発の代打飯原がV弾!

[ 2011年11月4日 06:00 ]

<中・ヤ>8回、代打で左越え本塁打を放った飯原(左)を笑顔で迎える小川監督

セ・リーグCSファイナルステージ第2戦 ヤクルト3-1中日

(11月3日 ナゴヤD)
 驚きの小川劇場だ――。ヤクルトが飯原誉士外野手(28)の一撃で、3日の中日戦に快勝した。8回に代打で登場し、左越えソロで均衡を破った。これが今季の初本塁打だった。1軍出場経験のない新人、山田哲人内野手(19)を1番起用するなど、前日の第1戦から全オーダーを入れ替えるサプライズ采配。小川淳司監督(54)の大胆な決断が見事にはまって、アドバンテージも含めて通算1勝2敗に持ち込んだ。

 打球が伸びるにつれ、観客の見る目が変わった。「まさか」「もしかして」、そして「なんと」――。打球が左翼フェンスぎりぎりに飛び込む。代打・飯原が8回、投手戦の均衡を破る先制アーチ。今季初本塁打は、サプライズが詰まった勝利へののろしだった。

 「たまたまです。本当にたまたま。届いてくれたって感じ。手応えはあまりなかったです」

 難敵チェンのフォークをうまく拾った一発に本人も驚いた。今季は打率・126、本塁打0。昨季15本塁打で手中にしかけた左翼の定位置も失った。失意の男に最後にサプライズが訪れた。

 サプライズはそれだけではない。ネルソンと迷った相手先発を試合直前にチェンと読み切り、左対左となる森岡に代え1軍出場経験のないルーキー・山田を指名。高卒新人野手ではCS史上初の先発メンバーに抜てきした。さらに前日までCS14打数2安打の主砲・畠山を外し、青木を昨年4月22日中日戦(ナゴヤドーム)以来の4番起用するなど、前日のオーダーを全て入れ替えた。

 投手起用でも中3日の石川を先発させ、8回に飯原の先制弾が出ると直後から館山をクローザーで投入。サプライズはまだ続いた。9回1死一、三塁でバレンティンに代打・藤本を起用。結果は二ゴロも三走・上田が挟殺される間に2死二、三塁とし、7回から途中出場の畠山が、ダメ押しの中前2点適時打だ。

 指揮官は「よく打ってくれた」と選手を称えたが、準備があってのサプライズだ。飯原にはCS前に若手中心のフェニックスリーグ(宮崎)へ送り「結果を出さないと戻さない」と非情通告。夜間練習まで必死にバットを振り込み、激弾を呼び込んだ。畠山を外したのも「彼には刺激が必要」と判断した結果だった。

 これで1勝2敗。あと1敗で中日に王手を許す状況に変わりはない。小川監督は「その場その場を全力で勝つしかない」と表情を引き締めた。サプライズだらけの1勝から、巻き返しが始まった。

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