ソフト大嶋“硬派”宣言 同学年・中田と「いつか同じ舞台で」

[ 2011年11月2日 09:00 ]

ソフトボールと硬式球を手に笑顔の大嶋

 ソフトボール界期待の逸材が、球界に殴り込む――。10月27日のドラフト会議で、日本ハムの「超隠し玉」だった7位指名の大嶋匠捕手(21)が、きょう2日に仮契約を結ぶ。会場やお茶の間をあっと言わせたのが、所属が早大ソフトボール部であったこと。世界大会で優秀選手に輝くほどのスラッガーが、野球への転身を決意。入団テストに合格して指名を勝ち取った。自らを「上州の暴れん坊」と称し、その風貌と明るい性格で早くも人気者の大嶋の素顔に迫った。

 ――プロ野球選手になる実感は湧いてきたか。

 「ドラフト当日から凄い注目していただいて、自分がニュースに出ている。プロ野球選手になるんだなと実感しています。周りの人たちの目線を感じるし、一つの発言、行動に気をつけないとな、と感じています」

 ――中高一貫の新島学園に進んでからソフトボール一筋だった。

 「兄が通っていた影響もありました。新島学園(群馬)には野球部がなくて、ソフトボール部が強かった。もともとプロ野球選手になろうと思っていたし、高校で甲子園にも出たかった。ブレブレでしたけど、そのままソフトを頑張れば大学進学に有利ということもありました」

 ――硬式野球をやろうと思ったことは。

 「小学校で軟式野球をやっていて、中学に上がる時にボーイズリーグの練習に参加しました。でもフリー打撃の時に右腕に死球が当たって、硬球がすごい痛かった。それでやめました(笑)」

 ――いつからプロ野球を意識した。

 「大学2年生ぐらいから吉村先生(ソフトボール部監督)に“プロになりなさい”と言われていた。プロにならなかったら地元の市役所で公務員をやろうと思っていました。公務員を目指して勉強をしっかりするか、小さいころからの夢だったプロ野球選手を目指してチャレンジするか。悩んだけど、家族や吉村先生の強い後押しのおかげです」

 ――大学4年になってからは社会人野球のセガサミーの練習に参加していた。

 「今は硬球に慣れてしまって、ソフトボールの方が無理です。バットも8月に大会が終わって引退して、9、10月は社会人で野球をやっていたので違和感はないです」

 ――ソフトボールと野球の違いは。

 「距離がまず違う。ボールの大きさや、バットの性質も全然違う。似てはいますけど、違うスポーツだと思っています。野球は(ボールが)速いとは思わないですけど、伸びが凄い。伸びというものはソフトボールにはあまりないので。1球1球の間もソフトボールに比べて長いですね。しっかり自分の中で慣れていければ」

 ――大学4年間を振り返って。

 「ソフトボールのスピード感であったり、そういう部分は体感できた。それをうまく野球につなげていきたい。卒論は“ソフトボールと野球のバッティング動作の比較”。左打者なら右足を上げる、上げないで変わってくる。数値化すると一人一人タイミングの取り方、足を上げている時間が全然違うので面白い」

 ――打撃フォームはT―岡田(オリックス)に似ている。

 「足を上げるのは得意じゃない。腰を低くして構えていた方が下半身に一番力が入る。じゃあどうしようかと考えたときにT―岡田さんがバンバン本塁打を打っていた。それでノーステップで打ってみようかな、と。プロで続けるかは考えていないですね。いろいろ試行錯誤してみようと思っている」

 ――日本ハムは好投手が豊富にそろっている。

 「ダルビッシュさんのボールを受けてみたい。全てが凄い」

 ――中田は同学年。

 「どんな考えで打撃をしているのか興味があります。甲子園をテレビで見て、こんな凄い人が自分と同い年なんだ、と。一ファンとして見ていました。自分もいつか同じ舞台で戦えたらいい」

 ――今後プロ野球で生き残っていくためには。

 「数を多くこなすということが大事。周りの人たちに比べたら実績もゼロですし、全てにおいて足りてない。どうやって周りの人たちに追い付き、追い越していくのかをしっかり考えて練習に取り組まないとダメ」

 ――ソフトボールをやっていてよかったか。

 「世代別の日本代表に選ばれて海外で日の丸を背負って戦えた経験は野球ではできなかったと思う。日本代表として海外でやれた経験は大きい」

 ――目指すべき選手像は。

 「しっかり投手をリードして守れる捕手になりたい。自信はまだないですが、セールスポイントもしっかり言えるようになりたい。楽しみな方が多い。活躍次第でソフトボールの見方が変わってくる。プロに入っただけで満足せず活躍をしなければならない。使命感、責任感みたいなものの方が大きいですね」

 ――プロ野球での抱負は。

 「ソフトボール出身ということで注目していただいているので、皆さんの期待に少しでも応えられるように、今からしっかり準備をして2月1日のキャンプインに恥ずかしくないように練習していきたいと思います」

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2011年11月2日のニュース