内海こん身の94球&スクイズ「一球一球が重かった」

[ 2011年10月31日 06:00 ]

<ヤ・巨>内海は気迫の投球

セ・リーグCSファーストステージ第2戦 巨人6―2ヤクルト

(10月30日 神宮)
 三塁側スタンドから湧き起こった内海コール。巨人・内海はりりしい表情で左拳を何度も突き上げた。

 「凄く緊張したけど、絶対に負けられない気持ちで投げた。シーズン中と違って一球一球が重くて、いつもより疲れた」

 94球に全てに魂を込め、6回3安打1失点。「ペース配分を考えないで、全力でいった」と序盤からトップギアで攻めた。速球で厳しく懐を攻め、低めにチェンジアップを集める。初回、2回を3人ずつで片付け、4回までゼロを並べた。鍵となったのは5番宮本との対戦。レギュラーシーズンで打率・500(8打数4安打)と打ち込まれた相手に、走者を背負った4回は中飛、6回は空振り三振に仕留めた。

 打撃でも自らチームを引っ張った。3回にチーム初安打の中前打。5回1死一、三塁の好機ではセーフティースクイズ。一塁前に強い打球できっちり転がし、貴重な2点目を挙げた。「あれはまぐれです」と笑ったが、フリー打撃から実戦に即した状況を1球ごとに叫んで取り組んだ成果だった。「1死二塁!」で一、二塁間に引っ張った打球、「1死三塁!」で外野への飛球と打ち分けていた。9番目の野手としての強い意識が実を結んだ。

 今季は18勝で自身初の最多勝を獲得。CSファーストSの初戦先発は沢村だったが、「1戦目と変わらない重要な試合だと思った」と心はぶれなかった。先発隠しで3日連続ブルペン入り。シーズンとは勝手が違う調整法も黙々とこなした。首脳陣は1戦目で黒星を喫した崖っ縁の状態で、2戦目を託せるのは内海しかいないと考えていた。川口投手総合コーチは「きょう(白星を)取るのは計算通り。心強い投球」と労をねぎらった。

 「勝って名古屋に行けるように頑張ります」。試合後は何のためらいもなく、ウイニングボールをスタンドへ投げ入れた。まだまだ試合は続く。エースの無言の意思表示だった。 

 ≪スクイズ成功は8人目≫内海(巨)が6回1失点で勝利投手。CSでは先発4試合目で初勝利(2敗)を挙げた。打席では5回にスクイズ成功。プレーオフ、CSでスクイズを決めたのは(Sはステージ)
年  S  戦  選手名(所属)
74 - (2) 長谷川(ロ)
75 - (4) 西 村(近)
79 - (2) 石 渡(近)
80 - (2)マニエル(近)
82 - (4) 黒 田(西)
07(1)(3) 里 崎(ロ)
08(2)(3) 飯 山(日)
11(1)(2) 内 海(巨)
と8人目。セ・リーグおよび投手では内海が初めてだ。また投手の打点は73年(2)戦の山田(阪急)、昨年ファイナルS(2)戦の吉見(中)に次いで3人目となった。

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2011年10月31日のニュース