36歳・由伸ダメ押し打 思い出の神宮で早慶戦見て奮起

[ 2011年10月31日 06:00 ]

<ヤ・巨>ベテランのひと振りで逆王手だ。9回、満塁で代打・高橋由が走者一掃の二塁打を放つ

セ・リーグCSファーストステージ第2戦 巨人6―2ヤクルト

(10月30日 神宮)
 後のない状況で、ベテランの一振りでファイナルS進出に逆王手をかけた。巨人は30日、1点リードで迎えた9回2死満塁から代打に起用された高橋由伸外野手(36)が右中間を破る走者一掃の二塁打。勝負を決定付けた。これで対戦成績を1勝1敗とし、31日の第3戦に勝てば、11月2日に開幕する中日とのファイナルS(ナゴヤドーム)進出が決まる。

 崖っ縁から、一気に名古屋への視界が開けてきた。高橋由が右拳を何度も握った。代走を告げられて、三塁ベンチに向かう背番号24に大歓声が降り注ぐ。1点リードの9回2死満塁から代打に起用されたベテランが、一振りで勝負を決めた。

 「打つしかないと思っていた。(チャンスを)つくってくれたのはみんなだから。いい場面で応えられて良かった」

 ヤクルトに先勝を許して迎えた第2戦。左腕の石川相手に先発メンバーからは外れた。ここぞの場面での最強の切り札。9回2死満塁で亀井に代わり代打を告げられると、巨人ファンから、この日一番の大歓声を受けた。1ボールからの2球目。林昌勇(イム・チャンヨン)の138キロの直球に力負けせず右中間にはじき返した。走者一掃の二塁打。1点のリードを守るため、7回途中から山口、8回途中からは抑えの久保をつぎ込む懸命の継投を展開していた原監督も「由伸のタイムリーが出るまでは分からなかったからね」と目を細めた。

 今季が4年契約の最終年。09年の腰の手術から復活をかけた1年だった。5月に左肋骨骨折で離脱したが、95試合に出場し、打率・246、15本塁打。数字自体は満足できるものではなかったが、勝負どころでの集中力を買われて、不振のラミレスに代わって4番も務めた。原監督も「まだ老け込む年じゃない。前線に立ってやってもらわないと困る人だから」とプロ15年目となる来季以降も戦力として期待する。24日からの宮崎でのCS直前合宿では連日の直接指導。内角球を打つ際に右脇が開かないようにと助言したが、この日の殊勲打は内角低めを拾った一撃だった。

 CSが導入されて以来の神宮開催。29日の第1戦では4回1死一、三塁から先制の右前打を放った。2試合で2本の安打はいずれも適時打で計4打点。「CS男」の予感が漂う。くしくも東京六大学野球の早慶戦と日程が重なったファーストS。この日、球場入りすると慶大の応援席を見上げ「もう15年だね。年も取るよな。これから先15年って考えると考えられないもんな」と感慨深げに話した。慶大時代は通算23本塁打の六大学新記録を樹立。今季チームが1勝しかできなかった鬼門だが、高橋由こそ神宮の申し子だ。

 1勝1敗のタイに持ち込み勝負の第3戦。原監督は「あすは決戦だ!」と声高に話し、高橋由も「負けたら終わり。もう一つ何とか勝って次に行ければいい」と自信の顔で付け加えた。

 ≪今季満塁機で10打数無安打≫代打の高橋由(巨)が9回満塁で走者一掃の適時二塁打。今季レギュラーシーズンでの満塁機は10打数無安打で打点は野選による2打点だけ。また林昌勇(ヤ)にはレギュラーシーズンで過去7打数1安打(打率.143)で打点は0。短期決戦で苦手にした状況と投手から貴重な追加点を叩き出した。ちなみに巨人のCSでの通算満塁成績は9打数3安打だが、08年第2S(2)戦小笠原・本塁打、09年第2S(4)戦谷・本塁打、この日の高橋由と放った3本は全て長打になっている。

続きを表示

2011年10月31日のニュース