奇跡の1毛差CS進出!最下位から144試合目で逆転

[ 2011年10月19日 06:00 ]

<西・日>試合後にCS出場を決めナインの先頭に立ち渡辺監督は、ビクトリーロードをファンとハイタッチしながら上がる

パ・リーグ 西武4-3日本ハム

(10月18日 西武D)
 わずか1毛差の天国と地獄――。西武は18日、日本ハムに勝利し、前日まで3位だったオリックスがソフトバンクに敗れたために、2年連続のクライマックスシリーズ(CS)進出が決まった。レギュラーシーズン最終戦となる144試合目での劇的決着。一時は最下位に沈んでいたが、9月は10連勝をマークするなど驚異的な追い上げでCS最後の切符を手にした。この日来季の続投が決まった渡辺久信監督(46)は3位からの下克上日本一を目指す。

 最後は選手を信じるだけだった。2点差の9回。ルーキーの牧田が無死満塁のピンチを招きながら、何とか1点差で逃げ切った。その時、奇跡への扉が初めて開いた。渡辺監督は、光山バッテリーコーチと抱き合った。それから34分後。西武ドームの大型ビジョンでオリックスの敗戦を見届けた。144試合目。その差はわずか1毛だった。

 「(9回は)寿命が2、3年縮まった。本当に苦しいシーズンだったと思う。優勝には届かなかったけど、クライマックス圏内に残れたのは良かった」

 逆転CSの条件はただ一つ、西武が勝ち、オリックスが敗れた場合のみ。「きょうは選手がやってくれると思っていた」と振り返った渡辺監督は、執念のタクトを振った。7回を終えて120球に達していた西口を8回も続投させた。9回には前夜に3回33球を投げていた牧田を迷いなく投入した。ブルペンには岸と石井一を待機させた。

 その思いは選手にも伝わった。39歳の西口は今季最多の140球を投げ、8回まで2失点で11奪三振。「勝たなくてはいけない試合。最初から飛ばしていった」とチームトップの11勝目をマークした。今季途中で抑えに転向した牧田は足が震えるような重圧の中で22セーブ目を挙げ「きょうが精神的に一番きつかった。死ぬかと思った」と息をついた。

 今季は前半戦に9連敗を喫し最下位に沈んだ。しかし、渡辺監督は折れなかった。開幕から波に乗れず、寝付きの悪い早朝に見たアニメ「ワンナウツ」。主人公の「可能性が低いってことは、つまりゼロじゃない」のセリフが胸に響いた。1敗でもしたら、4位が決まる残り3試合。引き分け、引き分けで首の皮1枚残り、最後に勝って逆転した。昨季は終盤の大失速で1勝差でリーグ優勝を逃し、今季は「勝利への執念」をスローガンに掲げた。その言葉を見事に体現してみせた。

 最大借金15からの下克上はまだまだ続く。渡辺監督は「日本一をつかみたいと思います」とファンの前で宣言した。

 【西武CS進出データ】

 ★1毛差逆転 西武はオリックスと勝率1毛差で3位となりCS進出を決めた。04年から始まった上位3チームで争うプレーオフ、CSの順位争いでこれまで3、4位の勝率が最も接近したのは昨年ロッテ(.528)と日本ハム(.525)の3厘差。今季の1毛差はそれを上回る大接戦となった。また3、4位チームが同日にシーズン最終試合を行い、順位が入れ替わってCS進出チームが決まったのは今季が初めてだ。

 ★首位と21ゲーム差 過去プレーオフ、CSで3位確定時に首位チームにつけられた最大ゲーム差は09年ヤクルトの24ゲーム。21ゲーム差はこれに次ぎ、05年西武自らが記録したのと並ぶパ最大ゲーム差だ。今季の西武はAクラスの日数がわずか27日。パのプレーオフ、CS進出チームとしては08年オリックスの42日(進出確定時)を下回る最も少ない日数となった。

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