平田“恩返し弾”獲得決めた落合監督のためにも

[ 2011年10月11日 06:00 ]

<中・ヤ>2回に先制2ランを放った平田はバンザイしながら笑顔でハイタッチ!!

セ・リーグ 中日3-0ヤクルト

(10月10日 ナゴヤD)
 落合チルドレンの恩返しだ。中日は10日、平田良介内野手(23)の10号2ランで先手を取り、ヤクルトを制した。今季最大の1・5ゲーム差。今季限りの退任が決まっている落合博満監督(57)が育て上げた若き大砲が、首位攻防第1ラウンドで大仕事をやってのけた。マジックは最短で12日、最少「4」が点灯する。

 うれしさをかみ殺すような言葉だ。試合後の落合監督。いつもの短い会見で言った。「その場面その場面でいい仕事をしてるよ。このままの状態でいいでしょう」。その柔和な表情が全てを物語っているようだ。

 突然の退任が発表されてから、オレ流チルドレンの躍動は勢いを増すばかりだ。2位・ヤクルトと名古屋決戦。大事な大事な初戦はプロ6年目の23歳、平田がどでかい仕事をやってのけた。

 2回2死一塁。「内野安打でいい。次につなげるんだ」。謙虚な考えで高めに浮く球だけを待った。2ボール1ストライクからの4球目、狙い通り外寄りの高めに来た石川の130キロ直球をバックスクリーン右へ突き刺した。ヤクルトへ大きなダメージを与える先制2ラン。「打った瞬間だった。でも、バックスクリーン(方向)なので一生懸命に走った。走らないと怒られますから」。オレ流の育成方法に応えてみせた一瞬だった。

 05年のドラフト。スカウトの評価の分かれた平田を「ちょっと直せば十分行ける」という落合監督のひと言で1巡目指名した。昨年までわずか3本塁打。「ちょっと」に5年かかったが、今春の打撃改造でレギュラーの座をつかんだ。グリップを高くし、のけぞるようにしてから始動。独特のタイミングの取り方を指摘する声もある中、落合監督にはボールを捉えにいくときの下半身の使い方を教えられた。「打ちに行くときの形はみんな一緒なんです」。その成果がプロ初の2桁本塁打。大舞台で試合を決めるまでに成長した。

 思えば07年の日本シリーズ第5戦。山井―岩瀬の完全試合継投で日本一になった試合で、日本ハム・ダルビッシュから唯一の得点となる犠飛も平田だった。「僕、プレッシャーを感じないタイプなんで。今、凄く楽しいです」。オレ流で育った選手は優勝争いも楽しんでいる。名古屋決戦に先勝。最短で12日にも最少でマジック4が点灯する。勢いは止まらない。師弟で最後の日本シリーズを楽しむまで。

 ▽05年の高校生ドラフト 辻内、平田(大阪桐蔭)、岡田(T―岡田=履正社)、鶴(近大付)の「ナニワ四天王」を筆頭に好素材がそろった。1巡目で辻内に巨人とオリックス、片山(報徳学園)に楽天と広島、陽仲寿(陽岱鋼に改名=福岡第一)に日本ハムとソフトバンクが競合。辻内は巨人、片山は楽天、陽仲寿は日本ハムが抽選で交渉権を獲得する中、中日は平田を単独指名した。オリックスは外れ1位で岡田を指名。他の1巡目指名選手は阪神の鶴、横浜の山口(柳ケ浦)、ヤクルトの村中(東海大甲府)、西武の炭谷(銀仁朗=平安)ら。巨人に4巡目指名された福井(済美)は入団拒否した。

続きを表示

2011年10月11日のニュース