ソフトB3巨頭のつなぎ役は元ロッテの東大左腕 孫オーナー「貴重な人材」

[ 2011年10月2日 06:56 ]

ソフトバンク パ・リーグ連覇

 ソフトバンクをリーグ連覇に導いた立役者。孫正義球団オーナー(54)、王貞治球団会長(71)、秋山幸二監督(49)の3巨頭のつなぎ役となった小林至球団取締役(43)の存在は大きい。球団は大量補強やドラスチックな年俸制度改革などを敢行してきた。小林氏はその現場すべてに立ち会ってきた。

 小林氏は王会長をノーラン・ライアン氏に重ねる。大リーグで野球殿堂入りした名投手で08年からレンジャーズの球団社長を務め、10年間も地区優勝から遠ざかっていたチームを10、11年の連覇に導いた。王会長も事実上のGM職である編成委員会副委員長として、自ら「初優勝より10倍難しい」と認める連覇を達成した。基本は現場主義だが、秋山監督らに「気を使わせたくない」とグラウンドに出ることを控え、小林氏に「現場が何を思っているのか、しっかり把握してくれ」と指示し、内川、細川、カブレラら現場が求めた補強をピンポイントで具現化した。

 小林氏は「ソフトバンクは前衛的な会社。孫オーナーはあっと世の中を驚かせてきた。そのイズムは球団にも受け継がれている」という。それは例えば変動制年俸の導入であり、3軍制だった。新年俸制度はFA選手との契約交渉にも適用され、内川の場合は4年総額で5億6000万~13億6000万円と8億円もの幅があった。信賞必罰が連覇の底を支えた。

 東大卒の元プロ野球選手という経験を経て、孫オーナーから「いろいろと勉強している貴重な人材」と求められ、05年に球団取締役に就任。小林氏が、孫、王、秋山という3人のリーダーをつなぐパイプとなり球団に燃料が循環した。

 ◆小林 至(こばやし・いたる)1968年(昭43)1月30日、東京都生まれの43歳。神奈川・多摩高から東大を経て92年、投手としてロッテに入団。1軍登板はないが、2軍では26試合0勝2敗(防御率6・17)。引退後は米コロンビア大大学院で経営学修士を取得。米ケーブルテレビ局勤務などを経て02年、江戸川大助教授に就任。05年、ソフトバンクの球団取締役に就任。1メートル75。左投げ左打ち。

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2011年10月2日のニュース