WBC大会統括MLBトップ NPB主張に反論「すでにとても遅れている」

[ 2011年9月28日 08:12 ]

WBC参加問題

 大リーグ機構の国際部門トップ、ポール・アーチー副会長が26日(日本時間27日)、スポニチの電話インタビューに応じ、13年の第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の参加をめぐる日本の主張に反論した。

 過去2大会は主催者にあった日本代表のスポンサー料などの権利をNPB(日本野球機構)に譲渡するよう求める日本に対し、多額の大会運営コストがかかる点を強調。30日(日本時間10月1日)の出場可否の回答期限も延期しない方針を示した。

 ――日本野球機構(NPB)と日本プロ野球選手会の話し合いで、選手会は要求が認められなければ参加できないとしている。

 「まだNPBの方から報告を受けていない。今週中にNPBから連絡があるのではと思う」

 ――大会運営会社のWBCI(注1)は参加回答期限を9月30日としている。デッドラインを先送りすることは。

 「それはない。あるとしたら、もう少しで(NPBと選手会が)合意できるという段階に入っているケースのみだ。今のように隔たりがある中で延期はない」

 ――その理由は。

 「第3回WBCは参加チームが増え、予選も12年の秋に始まる。あと1年もない。出場チームが決まらないと、開催地決定や、放映権、スポンサーなど、ビジネスの交渉が全く進められない。遅れれば遅れるほど不利な状態になっていく。09年のWBCのときも、日本が出場すると正式にサインしたのは大会直前の09年1月だった。同じようなことにはしたくない」

 ――アジア1次ラウンドを日本ではなく台湾で行う可能性もあるのか。

 「ある。候補地の一つだ。台湾の人たちも興味を持っている。昨季はドジャースがオープン戦を戦っているし、11月には大リーグの選抜チームが台湾でプレーする。球場も、天候もアジアラウンドをやる上で問題ない」

 ――台湾開催で、日本がただの出場国という立場なら、回答期限を延ばせる可能性は。

 「それもない。出場チームが明確にならないとビジネスの話が進められない。すでにとても遅れている」

 ――個々の選手に入る報酬について。各国による違いはあるのか。

 「(NPB所属の日本選手は他国の選手よりも)出場報酬は45%多い。そして結果的に優勝した日本選手は、その報酬と賞金を合わせ、2番目にもらったチームの2倍以上を受け取っている」

 ――分配比率でいえば、大リーグ機構と大リーグ選手会が多く分配されているが。

 「WBCは野球の普及を目指し、世界のベストプレーヤーが母国のためにプレーできるよう考えられた大会。これまで五輪でも、IBAF(国際野球連盟)でもできなかった。それには保険、飛行機代、宿泊費、練習施設、用具など、巨額のコストがかかる。そこでWBCから招待する形にした。第1回大会は大リーグ30球団が経費4300万ドル(当時約50億7400万円)を捻出した」

 ――大リーグのスター選手が母国でプレーする時の保険の費用も払っているということか。

 「日本のように経済的に豊かな国なら、自分たちでスポンサーを募り、費用を工面して出場できる。だが多くの国は難しい。日本の提案する形なら、WBCに出場できるチームは4カ国くらいになってしまうだろう。コストで一番大きいのが保険だ。09年大会はMLBから9カ国、228人がプレーした。アレックス・ロドリゲス(ヤンキース)はドミニカ共和国のためにプレーした。MLB所属球団ではない他チームでプレーするためには保険が必要。それを負担している」

 ――日本の参加は大会に必要か。

 「私は日本チームにはぜひ今回も出場してほしいと思っている。日本が出た方がいいトーナメントになるし、不参加となれば失望するだろう。米国はじめ他チームも、ぜひ前回のチャンピオンを破って王座に就きたいと意気込んでいるから。だが、仮に日本が出ないとなったら、その場合は先に進まなければならない。すでに説明したように、遅れれば遅れるほど他の出場チームに迷惑をかけてしまう」

 ――WBCの発展について考えることは。

 「これまでの成功に喜んでいる。野球の露出を世界レベルで増やし、草の根でこの球技を広めていく。09年大会の収益から、欧州やオーストラリアなど世界の野球に1500万ドル(約11億5500万円)を還元できた。いい方向に進んでいると思う」

 (注1)WBCIとは「WORLD BASEBALL CLASSIC INC」の略でWBC大会の企画、運営などを一手に担う。大リーグ機構国際部門内の組織で、本部はニューヨークにある。責任者はジェームス・ピアース氏。

続きを表示

2011年9月28日のニュース