沢村、首位斬り1勝 CSに向け苦手意識払しょく

[ 2011年9月21日 06:00 ]

<巨・ヤ>8勝目を挙げた沢村はウイニングボールをスタンドに投げ入れる

セ・リーグ 巨人6-1ヤクルト

(9月20日 東京D)
 巨人・沢村拓一投手(23)は20日、ヤクルトとの今季最終戦に先発。ここまで1勝4敗と相性の悪かったヤクルト相手に、7回1/3を1失点と好投し、両リーグ通じて新人単独トップの8勝目を挙げた。首位・ヤクルトとは7ゲーム差で逆転優勝は依然として厳しい状況だが、クライマックスシリーズ(CS)でのヤクルトとの再戦に向けて、沢村にとっては苦手意識を払しょくする大きな1勝となった。

 堂々の投球、そして見事な変身ぶりで、沢村が首位ヤクルトをねじ伏せた。

 「(村中は)良い投手だけど、何回も負けて悔しい思いはあった。きょうはしっかり仕事はできたと思う」

 ここまで対ヤクルト戦は1勝4敗、村中との投げ合いも1勝3敗だったが、最終戦で意地を見せた。過去の同戦は要所で直球、スライダーを痛打されていたが、「第3の球種」で翻ろうした。3回に田中に適時打を浴びて連続イニング無失点は20でストップ。ここを機に、力投型のスタイルからモデルチェンジした。フォークが21球。従来の勝負球であるスライダーの18球を上回った。「スライダーよりフォークが良いと思った。空振りを狙ってないし、打たせられて良かった」。4奪三振ながら、四球はわずか1つ。象徴的だったのが6回2死一、二塁。武内を直球と見間違う136キロの高速フォークで遊ゴロに仕留めた。

 中大4年で大きく飛躍した要因の一つがフォークだった。「握りを浅くして縫い目も若干変えたことで、5キロから10キロ速くなった。投球が楽になりましたね」と振り返る。今春キャンプも変化球の中で最も解禁が遅かったが、「投げなくても感覚は分かっている」と自信を口にしていた。

 右足がつり、8回1死、98球で降板したが、川口投手総合コーチは「調子の良い時は右足の蹴りが良くなる。負担が掛かったんだろうね。大事には至ってない」とした。CSで対戦の可能性があるヤクルトに最後の最後で手ごわいイメージも植え付け、沢村は「目先のタイトル(新人王)よりいかに貢献できるか。4、5年とやっていく中でジャイアンツを背負っていかなきゃいけない」。ポストシーズンに向け、2桁勝利も見えてきた黄金ルーキーが頼もしい柱になりつつある。

 ≪木佐貫以来8年ぶり≫ルーキーの沢村(巨)が7回1/3を1失点で今季8勝目。巨人の新人でシーズン8勝以上は03年木佐貫が10勝して以来8年ぶりだ。この日は3回に失点し、2日ヤクルト戦の6回から続いていた連続無失点は20回でストップ。新人で20回以上の連続無失点は09年摂津(ソ=23回)以来だが、ドラフト制後の巨人では66年堀内(44回、23回1/3)、00年高橋尚(20回)に次ぎ3人目(4度目)となった。

 ▼巨人・原監督(ヤクルト戦最終戦勝利に)いいゲームをしていたけど、引き分けとかなかなか勝ち星を挙げられなかったのは反省材料として残る。ただ(今後の)踏み台にするものは踏み台にしないと。ステップの材料にしないといけない。

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2011年9月21日のニュース