沢村、45年ぶり!白星ならずも充実の10回零封

[ 2011年9月9日 06:00 ]

<中・巨>延長10回2死、和田を空振り三振に斬り絶叫する沢村

セ・リーグ 巨人0-0中日

(9月8日 ナゴヤD)
 敵地のファンをもうならせる快投だった。巨人の沢村拓一投手(23)は8日、中日戦に先発。10回をわずか96球で、無四球、2安打無失点。打線の援護がなく7勝目はならなかったが、巨人の新人投手が延長回まで投げたのは、堀内恒夫以来45年ぶり。残りシーズンに期待を抱かせる沢村の快投で、同カードでは41年ぶりとなる延長12回での0―0引き分けとなった。

 並べた10個の0は勝利には結びつかなかった。沢村がプロで初めて延長10回まで投げた。打線の援護がなく白星は付かなかったが、充実の汗を気持ちよさそうに拭った。

 「ソトは5勝0敗で負けない投手。2―1でも1―0でも接戦になるのは分かっていた。そこで踏ん張れたのは良かった。勝負は流れがあるので(自分の)勝敗は気にしていない」

 最高の投球だった。10回、打者32人を96球で無四球、2安打無失点。9回を無失点で投げ切ったのも初めてだった。捕手の実松は「全部(の球種)が切れていた。ファウルや打ち損じが多かったし、変化球でも簡単にストライクが取れていた。勝たせたかったですね」と振り返った。沢村はこの試合まで21試合、141回を投げ投球数は2212球。1イニング平均の投球数が15・7球だったのが、この日は9・6球。最速は150キロ止まりだったが、スピンの利いた直球でファウルや空振りを誘った。首脳陣の方針で、ブルペンでは最低限のフォームチェックだけにとどめている。だが、沢村自身は8月後半から100メートル近い距離での遠投を多く取り入れた。力まず体全体で投げることでリリースポイントと球筋が安定。「9月はもらった!」と冗談めかしながらも周囲に口にした制球面への手応えは確かだった。さらに立ち上がりの悪さを解消するため、試合前のブルペンでの球数を増やすなど試行錯誤を続けた成果も3回までパーフェクトという形で表れた。打者32人のうち0ボール2ストライクに追い込んだのが11人で、初球ストライクは18人。中日打線は「早打ち」にならざるを得なかった。

 「次につなげたい」。新人右腕は下を向くことなく引き揚げた。

 ▼巨人・川口投手コーチ(沢村について)今までで一番良かったと思うが、勝てなくてかわいそうだった。

 ▼巨人・久保(同点の延長11回から2回を無失点。延長12回2死二塁では原監督がマウンドへ)2アウトだったし、(次打者の)ブランコも嫌だったので(打席の森野と)勝負させてくださいと言った。分かった、と言ってくれました。

 ≪堀内以来45年ぶり7人目≫ルーキーの沢村(巨)が延長10回まで2安打無失点。新人が延長回まで投げたのは八木(日)が06年4月15日ソフトバンク戦で10回を無安打無失点に抑えて以来。巨人では堀内恒夫が66年6月22日サンケイ戦(12回2失点完投)、同月26日広島戦(11回2失点完投勝利)と2度記録して以来45年ぶり7人目(10度目)。うち無失点に切り抜けたのは緒方俊明が47年10月12日阪急戦で10回完封勝利を挙げたのに次ぎ64年ぶり2人目。2リーグ制後では沢村が初めてだ。

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2011年9月9日のニュース