小川監督「絶対勝つ!」に応えた 村中気合の3勝目

[ 2011年9月3日 06:00 ]

<ヤ・巨>完投勝利の村中がライトスタンドのファンにサインボールを投げ入れる

セ・リーグ ヤクルト4―2巨人

(9月2日 神宮)
 巨人キラーは健在だ!ヤクルトは2日、巨人戦に先発した村中恭兵投手(23)が4安打2失点で完投勝利。5回以降は打者15人をパーフェクトに抑える快投だった。今季の3勝は全て巨人戦というキラーぶりを存分に発揮。チームも11年ぶりに対巨人戦の勝ち越しを決めた。巨人はルーキーの沢村拓一投手(23)が6回3失点で11敗目。注目の首位決戦第1ラウンドは、投打がかみ合ったヤクルトが先勝した。

 その表情は達成感でいっぱいだった。試合後のお立ち台。普段は小声の村中が、2失点完投勝利に声を張り上げた。

 「点を取られた後、宮本さんに“もっと気合入れてけ”と言われたので、気合を入れて投げました。苦しい中でもみんなで団結して戦えました」。今季3勝、防御率1・45の巨人キラーが、シーズン最多の129球の熱投で期待に応えた。

 序盤の一撃で目が覚めた。2回に先頭・阿部の打球を、この日から左翼に戻った畠山が捕球に手間取り二塁打に。続くラミレスにチェンジアップを左翼へ運ばれた。痛恨の先制アーチ。それでも宮本の一喝で気持ちを引き締め直すと、低めを意識して腕を振り続けた。5回以降の5イニングはパーフェクトに抑え、今季2度目の完投勝利。前回完投も巨人戦(7月29日、福島)で、その時も沢村との投げ合いだった。

 雪辱を期していた。5月に右脇腹を肉離れ。今年から都内で1人暮らしを始めたこともあり、生活自体を見直した。食事では「栄養を吸収しやすくなる」と、苦手の野菜をサラダボウル1杯分、真っ先に摂取。また、腰痛防止策として数十万円をはたいて硬いベッドを購入した。しかし、前回登板の8月26日の阪神戦(甲子園)まで自身4連敗。翌27日に荒木チーフ兼投手コーチから「これなら打たれるだろ」と投球内容の資料を突きつけられ、変化球を投げる際に緩みがちだった腕の振りを修正して臨んだ。

 佳境の9月に入り、2位・巨人との直接対決。試合前のミーティングで選手に「絶対勝つ!」と異例の呼びかけを行った小川監督は、「きょうの1勝は大きい。村中に尽きます」とほおを緩めた。たった1勝。されど1勝。巨人に00年以来11年ぶりに勝ち越した白星で、ゲーム差を3に引き離した。

 ≪11年ぶりの2年連続3勝以上≫村中(ヤ)が4安打完投で今季3勝目。昨年11勝のうち巨人戦で3勝したが、今季の3勝は全て巨人戦。ヤクルトの投手で2年連続巨人戦3勝以上は伊藤が99年3勝、00年4勝とマークして以来。左腕では安田が76年5勝、77年3勝と挙げて以来34年ぶりだ。この日はラミレスに2ランを浴びたが、現在打率1位の長野を4打数無安打。昨年から通算24打数4安打(被打率.167)と抑え、本塁打は許していない。

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2011年9月3日のニュース