プロ初の同日登板…マー君、佑ちゃんとアベック勝利!

[ 2011年8月21日 06:00 ]

<ソ・楽>完投で12勝目を挙げた田中

パ・リーグ 楽天2―1ソフトバンク

(8月20日 ヤフーD)
 マー君&佑ちゃん、アベック勝利だ!楽天・田中将大投手(22)が20日、ソフトバンク戦で9回6安打10奪三振。1失点完投で今季12勝目を挙げた。ちょうど5年前の06年8月20日は、夏の甲子園決勝で駒大苫小牧のエースとして早実と延長15回引き分け再試合の死闘を演じた日。その相手だった日本ハム・斎藤佑樹投手(23)とプロ初の同日登板を果たし、ともに白星をゲットした。あの熱い夏から1826日。負けず劣らず田中の投球は熱かった。
【試合結果】

 勝利へあと1人。その最後のアウトを取る難しさは、高校時代も今も変わらない。9回2死満塁。一打逆転サヨナラ負けの場面で、田中は長谷川を二ゴロに打ち取った。顔をしかめて捕手・嶋に歩み寄り「ごめんなさい」とペコリ。試合後も、口をついたのは反省の言葉ばかりだった。

 「皆さんをヒヤヒヤさせて申し訳ない。ぐだぐだな感じで締めてしまって…」。完封目前の9回。2死から安打と四球で一、二塁のピンチを招いた。カブレラの中前打で1点差、続く松田には2ストライクから四球を与えた。四球となった松田への6球目には、自己最速タイの155キロをマークしたが「あんなクソボールで出しても価値はないです。全然、勝った気がしない」と、最後まで不満顔だった。

 夏が来れば思い出す。ちょうど5年前の8月20日。田中は駒大苫小牧のエースとして、夏の甲子園に伝説を残した。決勝戦で早実・斎藤と延長15回引き分けの投手戦。あれから1826日。約1400キロ離れた福岡と札幌で、プロ入り後初めて同じ日にマウンドに立った。試合後の田中は「そんなこと知らないですよ」。リーグトップの防御率は1・48に上昇。その言葉と投球には、プライドと貫禄がものの見事に同居していた。

 甲子園で観衆を驚かせた田中のスライダー。当時から「プロでも通用する」と評され、プロ5年間でさらに進化した。普通の投手は中指で球に横回転をかけるが、田中は人さし指で球の外側をはじくようにして強烈なスピンをかける。「いろんな人に投げ方を聞かれるんですが、みんな諦めますね」。誰もまねができない、生まれ持った指先の力と腱の強さが可能にする魔球。プロ入り後も練習を重ね、空振りを狙う時、カウントを稼ぐ時、ゴロを打たせる時…。場面によって自在に操れる。最後の打者・長谷川にも140キロ超のスライダーを連投。狙い通りに空振りを奪って追い込むと、最後は143キロスライダーで仕留めた。

 星野監督が「(杉内と)2人ともいい投球をしていた。久しぶりにときめいたな」と振り返った、息詰まる投手戦。左腕エースに投げ勝ち、チームの連敗も止めた。「きょう落とすと流れが悪くなって、ずるずるいくと思った」。自らに求められる役割は変わらない。駒大苫小牧で、そして楽天で。チームの柱。それこそが田中のいるべき場所だ。

 ▼楽天・佐藤投手コーチ(田中について)ストライク先行の投球だったし、コースに投げることができていた。球が強いんだから大事にいきすぎず、どんどんストライクを投げたらいい。

 ≪杉内には無傷3連勝≫田中(楽)が10奪三振の完投で12勝目。杉内(ソ)との先発対決は08年10月7日以来4度目になるが田中の勝敗は○○-○(杉内●●-●)と無傷の3勝で、チームは4戦全勝だ。この日の勝利でチームの連敗も2でストップ。連敗を止める勝ち星は今季4勝目となり、チームでは塩見の2勝を抑え最も多い。なお、2桁奪三振は22度目で、現役では6位タイに浮上した。

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