投げて打って走って…由規完投で6勝目

[ 2011年8月14日 06:00 ]

<ヤ・神>田中の中前打で二塁から生還した由規

セ・リーグ ヤクルト8-2阪神

(8月13日 神宮)
 まるで高校球児のようだった。ヤクルト・由規が今季最多140球の熱投で今季2度目の完投勝利。左脇腹筋膜炎から復帰して以来初白星。5月26日オリックス戦(神宮)以来の今季6勝目で、2位阪神を5ゲーム差に突き放した。

 「同じ相手に二度とやられないぞという強い気持ちでいきました。最後の方は自分との勝負。9回は気力で投げました」

 前回登板で5回4失点を食らった阪神打線に対し、初回は制球が安定せず24球を費やした。2回には上本に3号ソロで先制点を許した。9回を投げきる落ち着きを取り戻したのは、自らのバットがきっかけだった。

 同点に追いついた2回2死二塁。打席に入る前、由規はベンチで隣にいた川本に「こういう場面でセーフティー(バント)はどうですか」と尋ねた。川本は「いいと思う。やるなら初球だ」と背中を押した。今季3戦全敗のメッセンジャー対策として、野手陣は伊勢総合コーチから「相手のリズムで投げさせないよう、できるやつはセーフティーをするように」と通達を受けていたからだ。由規はアドバイス通りに初球を三塁線へ転がして一塁へ全力疾走。野球人生で初めてというセーフティーバントを決め、この回打線は打者11人6安打の猛攻。チームは今季阪神戦の連敗を4で止めた。

 投げて打って走って。本紙高校野球面の題字用に自ら記した言葉「ひたむき」を心がけた。「高校生が連日、甲子園で汗まみれでプレーしている。僕も原点に戻って泥くさく、ひたむきにやろうと思った」。この日の最速は、仙台育英3年夏にマークした甲子園最速と同じ155キロ。頂点を目指す気持ちも、あの夏と一緒だ。

 ▼ヤクルト・荒木チーフ兼投手コーチ 由規には試合前と試合中に“(林昌勇離脱で)投手がいないから代えないぞ”と言った。いい状態ではない時の完投は自信になるのでは。

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2011年8月14日のニュース