これでいいのだ!バカボン七条でヤクルト連敗脱出

[ 2011年8月11日 06:00 ]

<広・ヤ>4勝目を挙げた七条は古巣・伯和ビクトリーズの声援を背にガッツポーズ

セ・リーグ ヤクルト6―1広島

(8月10日 マツダ)
 これでいいのだ。ヤクルトのドラフト2位右腕・七条祐樹投手(27)が10日、広島戦に先発。7回を5安打無失点で、無傷の4勝目を挙げた。全て先発でのデビュー戦からの4連勝は球団史上初。「バカボン」酷似のルーキーの快投で、チームの連敗も5でストップし、2位・阪神に再び5ゲーム差をつけた。

 敵地とは思えない大声援。三塁ベンチ上から「これでいいのだー!!」との合唱が鳴りやまない。その中で7回無失点の快投を演じたのは、「バカボン」似のルーキー・七条だった。

 「たくさん応援が来るのは知っていたので気合が入った。何とか勝ちたかった。(チームも)5連敗中だったので流れを変えたかった」

 登板した全7試合でチームは5勝2分け。七条が投げれば、チームは負けない。最大のピンチは3点リードで迎えた6回2死一、三塁。5番・丸に対してフルカウントから「ここで全部出し切ろう」と、この日最速の145キロで空振り三振に斬って雄叫びを上げた。普段の直球は130キロ台中盤だが、走者を背負うとギアチェンジする。全114球中、140キロ台はわずか5球。4回2死三塁でも追い込んでから144キロ、143キロと直球を続け、バーデンを見逃し三振に仕留めた。

 確実に先頭打者を打ち取り、与四球もゼロ。7月27日(神宮)に続き、昨年の沢村賞右腕・前田健に堂々投げ勝った。荒木チーフ兼投手コーチも「抜きどころ、攻めどころ。その状況判断が凄い。本当の勝負どころで向かっていく姿勢は他の投手にないもの」と、新人離れしたマウンドさばきに舌を巻く。

 スタンドでは、「バカボン最高」のプラカードが躍った。宮崎出身の七条は昨年まで広島に本拠地を置く社会人の伯和ビクトリーズに所属、いわば広島は第二の故郷だ。同球団の安本政基社長に率いられ、野球部員ら33人が応援に駆け付けた。ピンチを迎えるとマウンド上でジャンプを繰り返す七条の姿に、東賢孝監督は「昔からああしてよく跳んでました。あれで冷静さを取り戻すんです」と懐かしんだ。当時の背番号14のユニホームも掲げられ、準本拠地のように盛り上がった。

 今季最大のピンチを救った新人に、小川監督も「連敗が止まってホッとしました。守備のミスもある中、よくゼロに抑えてくれた」と感謝の言葉を並べた。「負けない新人」が先発5番手にいる。だから、ヤクルトは首位にいる。

 ≪オール先発4連勝は球団初≫七条(ヤ)が初登板から無傷の4連勝。ヤクルトの新人でデビューから4連勝は69年藤原、今季久古と並ぶ3人目の最多タイ記録になった。ただし、藤原は救援勝利が1試合、久古は4勝全て救援勝利となっており、オール先発で4連勝は七条が球団史上初めてだ。

続きを表示

この記事のフォト

2011年8月11日のニュース