今はオレが主役!中田全4打点でトップ!斎藤救う

[ 2011年8月9日 06:00 ]

<楽・日>5回2死一三塁、中田が左中間へ2点適時二塁打を放つ

パ・リーグ 日本ハム4-2楽天

(8月8日 Kスタ宮城)
 球児の季節に成長を見せつけた。日本ハムの中田翔内野手(22)が8日、楽天戦で初回に先制の12号2ランを放つなど全4打点の活躍。チームを同一カード4連勝に導き、64打点として打点王争いでリーグトップに躍り出た。この日先発した斎藤佑樹投手(23)には06年夏の甲子園で4打数無安打3三振とねじ伏せられた中田。5年が経過し、当時17歳だった少年は球界の主砲へと着実に階段を上っている。

 狙い球は違った。だが、中田の打球は左中間席へ飛び込んだ。初回2死二塁で左腕・塩見のフォークを捉え、4試合ぶりの12号2ラン。先制点を叩き出すと、胸を張ってベースを回った。

 「直球に差し込まれていたので、フォークでちょうど自分の体をためることができた。直球を待ちながら変化球に反応して体が止まる。あの打席はそれができた」

 1点差の5回2死一、三塁でも左中間を突破する2点二塁打。斎藤を援護する4点は全て中田のバットから生まれた。今季64打点は、西武・中島を抜いて7月9日以来のリーグトップに浮上。「気合で打ちました」。6日に甲子園が開幕。まるで高校球児のような言葉で振り返った。

 「甲子園はテレビで見ますよ。当時を思い出すことはないけれど…」。大阪桐蔭時代に高校通算87発を放ち、「怪物」と称されたが、その記憶は苦いものばかりだ。2年生4番として06年夏は2回戦で早実と対戦。「ハンカチ王子」として旋風を巻き起こした1歳上の斎藤に3三振を奪われ、チームも完敗した。「手も足も出なかった」。そんな悔しさはプロに入っても忘れなかった。

 早大に進学した斎藤がスポットライトを浴びる一方で、中田は2軍でもがき苦しんでいた。打撃フォームは試行錯誤し、守備位置も三塁から一塁、そして外野にコンバートされた。あれから5年。中田は不思議な運命に導かれ、チームメートとなった先輩右腕に負けない輝きを見せている。

 高校時代はカブレラ(ソフトバンク)ばりのフォームと力みまくったスイングでボールをしばいた。入団後は一本足打法やすり足打法。今季はノーステップのガニ股打法で4番の座を勝ち取ったが、さらなる進化を目指し、球宴後にはそれも変えた。「正確さと確実性を上げていきたい」。テーマはいかに力を抜くか。今は自然体でバットを構え、左足を軽くステップする。大阪大会の決勝で敗れた3年夏。「あのときは全打席、本塁打しか狙っていなかった」。最後の夏はなぜ負けたのか。今なら分かる。

 チームは5連敗後に引き分けを挟んで4連勝。梨田監督も「先制2ランも大きかったが、追加点も喉から手が出るほど欲しかった」と目を細めた。精神面も技術面も別人のように成長したが、変わらないものもある。丸刈り頭と、憎めない中田の笑顔だった。

 ≪中田のV打も最多の13≫中田(日)がこの日のチーム全得点となる4打点の活躍。4打点以上は10年8月6日楽天戦の4打点、今年6月18日広島戦の5打点に次ぎ自身3度目だ。斎藤の先発試合ではこれまで打率・179(28打数5安打)と先発投手8人の中で最低だったがこれで挽回。斎藤に白星はつかなかったものの初のV打となった。これで打点は64となりリーグ単独トップ。勝利打点13も同単独最多に返り咲いた。

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