歳内、圧巻17K!聖光、福島の思い背負って聖地へ

[ 2011年7月29日 06:00 ]

<福島大会決勝 聖光学院・須賀川>17奪三振を奪い力投した聖光学院・歳内

福島大会決勝 聖光学院4―0須賀川

(7月28日 開成山)
 第93回全国高校野球選手権大会(8月6日から15日間、甲子園)の地方大会は28日、福島、茨城など決勝5大会を含む13大会で29試合が行われた。福島大会では聖光学院がプロ注目右腕、歳内宏明投手(3年)の17奪三振の力投もあり、須賀川に4―0で快勝。これで東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城に続き、東北3県の代表が出そろった。29日は栃木、神奈川など7大会の決勝を含む12大会で17試合が行われる。
【福島大会 28日の試合結果】

 最後は134キロ直球だった。降りしきる雨の中、プロ注目右腕・歳内は17個目の三振を奪うと小さくガッツポーズした。

 「調子は悪かったけど、スプリットとスライダーはよかった。勝った瞬間はホッとした」。準決勝のいわき光洋戦で背筋を痛め、本調子ではなかった。最速は140キロ。それでも3回の先頭打者から5者連続など、圧巻の奪三振ショー。3安打完封と須賀川打線をまるで寄せ付けなかった。

 計6試合に登板し、34回2/3で60奪三振。どんな状況でも腕を振って落ちる球を投げられるのが強みだ。「スプリットとスライダーはしっかり止めた。低めを突く投球ができた」と捕手の福田。雨の中、ワンバウンドの変化球を多投したが暴投や捕逸はゼロ。スポンジボールを投げてワンバウンドを止めるバッテリー練習の成果が出た。

 2年生で臨んだ昨夏の甲子園は8強入り。しかし、センバツを目指した昨秋東北大会では準々決勝でサヨナラ3ランを浴び、仙台育英に敗れた。歳内はそのときの写真を寮の部屋に張り、自分を奮い立たせてきた。「それまでは、ただ一生懸命投げていた。あれ以来、周りの野手のことを考えている」。ラストイヤー。一回り成長した姿がそこにはあった。

 福島第1原発の事故を受け、さまざまな放射線対策が実施された異例の大会。各球場で放射線量を測定し、国が屋外活動の制限基準としている3・8マイクロシーベルトを超えれば中止する形がとられた。結果的に期間中に基準を超えることはなく、聖光学院は県内公式戦の連勝記録を61に伸ばした。「被災地の思いを背負って勝ちたい」。そんな特別な思いを胸に戦った歳内は「みなさんに喜んでもらえるプレーをしなければいけない。目標は日本一」と誓った。みちのくのドクターKは、全国の頂点だけを見据えている。

 ◆歳内 宏明(さいうち・ひろあき)1993年(平5)7月19日、兵庫県尼崎市生まれの18歳。小園小から小園中に進み、楽天・田中、巨人・坂本らを輩出した宝塚ボーイズでプレー。3年時には主将を務めた。昨夏の甲子園では2年生ながらエースとしてフル回転。ベスト8入りの立役者となった。家族は両親と妹、弟。1メートル82、80キロ。右投げ右打ち。

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