WBC不参加も辞さず!選手会 条件改善求める

[ 2011年7月23日 06:00 ]

<プロ野球選手会・臨時大会>大会後の会見で、WBC参加への問題点などを熱く話す新井・選手会会長(中央)

 労組・日本プロ野球選手会(会長=阪神・新井貴浩内野手)は22日、名古屋市内のホテルで臨時大会を開き、13年の第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に条件交渉の結果次第では出場しないことを全会一致で決議した。WBCにはオーナー会議でも収益増を求めて条件交渉に臨む方針を確認。これを受けて選手会は不参加も辞さない覚悟で交渉を後押しする考えで、3連覇を狙う日本が参加しない可能性も出てきた。

 12球団24人の代議員が全員一致で決めたのは不退転の覚悟だった。新井会長は強い口調で選手会の考えを代弁した。

 「今の不公平な条件のままでは、日本プロ野球の発展のためにも次回は出られないということで一致した。選手全員の意志です」。14日のオーナー会議では、大会運営会社のWBCインク(WBCI)に対して収益改善を求めて条件交渉に臨む方針を確認。交渉団の団長に加藤良三コミッショナーと議長の楽天・島田亨オーナーが就任した。その後押しを選手会も覚悟を持って行う。

 09年の第2回大会は総収益から日本の分配金は13%の約2億円。大リーグ機構(MLB)と大リーグ選手会が66%の約10億5000万円とほぼ独占した。今回、選手会が求めるのは分配率の変更ではない。代表チームにつくスポンサーの収入と、代表グッズのライセンシング料がそのまま参加国に入るようスポンサー権、ライセンシング権の譲渡を求めている。前回大会で日本代表を応援した日本企業2社のスポンサー収入は約9億円とされるが全てWBCIに譲渡された。日本野球機構(NPB)は選手の出場給や傷害保険料、合宿費用などの支出が大きく採算が取れない状況で、選手会の松原徹事務局長は「現状では優勝してもリーグや球団に利益はなく、選手派遣のリスクを負うだけだ」と説明した。

 8月にはWBCI関係者が来日してNPB交渉団と選手会が交渉に臨む。新井会長は「参加したくないと言ってるのではない。参加したくても今のままでは参加できない」と訴えた。

 ▼中日・森野 僕たちがもうかるもうからない、という話ではない。プロ野球界のため。変えていかないといけない。

 ▼広島・石原 12球団が団結して交渉していこうという段階。どの国際大会を見ても今が正しい状況ではない。

 ▼巨人・内海 権利を強い姿勢で獲りにいくということ。ズルズルいってもこのまま変わらないので。

 ▼ソフトバンク・川崎 10年、20年、30年先のプロ野球界を考えた時、しっかりとした形にしないといけないと思った。出ない覚悟を決めたことは大きい。

 ▼楽天・嶋 今だけを考えれば出たいという人もいるかもしれないですけど、今後の日本を考えてのこと。

 ▼加藤良三コミッショナー NPBの対応は7月14日のオーナー会議で決まった通り。オーナー会議の議長と私をヘッドとしてアメリカと鋭意交渉を進めます。NPBの考え方は交渉で明らかにしますが、とにかくWBCの灯は消したくないので全力で交渉します。

 ▼過去2度のWBC 06年の第1回大会は王貞治監督が指揮を執り、第2ラウンドは初戦の米国戦でサヨナラ負けを喫するなど1勝2敗。それでもかろうじて決勝ラウンドに進出し、準決勝の韓国戦に6―0で勝利。決勝のキューバ戦も10―6と打ち勝ち、初代王者に輝いた。原辰徳監督のもとで臨んだ09年の第2回大会は、第1、2ラウンドで2勝2敗だった韓国と決勝で対戦。同点の延長10回2死二、三塁でイチローが決勝の中前打を放って連覇を達成した。

 ◆その他の審議事項 (1)プロ・アマ問題はさらなる改善へ努力することを確認(2)年金問題についてはOBへの功労金などの仕組みを検討(3)FA権は国内外7年への取得年数短縮を求めていく方針を再確認(4)予算を承認。

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2011年7月23日のニュース