願いは日本人スラッガーの出現…松井「技術で40本打てる」

[ 2011年7月22日 06:00 ]

<タイガース・アスレチックス>スズキ(左)と握手を交わす松井

ア・リーグ アスレチックス7―5タイガース

(7月20日 デトロイト)
 日本最高のスラッガーとして海を渡ったアスレチックスの松井。本塁打率は日本時代の13・8打数に1本から、24・5打数に1本に落ちた。だが、年間30発以上を記録し、メジャーに挑戦した日本選手7人で、年間20本塁打以上をマークしたのは松井しかいない。04年には自己最多の31本塁打を放った。

 「子供の頃からずっと追い求めてきた。こだわりは今も昔も変わらない」。メジャーの投手の球威と切れ、そして特有の動くボールに対応するために打撃を改良した。

 日本では右手の力で運んでいたスイングを変えた。「右手でスピンをかける打ち方は厳しい。左手を使ってボールをつかまえる感覚、インサイドアウトに振るイメージでないと対応は難しい」。内から絞るように打つ。03年ヤンキースの春季キャンプで最初に行った変革は巨人時代に右手だけだった手袋を両手にはめることだった。オフの時期は左手で箸を使い、繊細な感覚を磨いた。

 常勝軍団ヤンキースでは、本塁打より安定した打撃を求められた。「強く打つことと正確さ。ある意味、相反するものをいかに表現するか」。長くボールを見るため、バットのグリップ位置は捕手寄りに。左脇を少し空け、左手で押し込む形を最短距離で実現できるようにした。極限まで手元に引きつけたミートポイント。そこから逆算してトップの位置を可能な限り遠ざけ、パワーを伝えるための距離を稼ぐ。「一年中バランスを意識する」。微調整の日々は、ミリ単位の戦いだった。

 そんな中で積み上げてきたメジャーでの168本。「ある程度のパワーは必要だが、技術でメジャーで40本を打てる可能性はある。そういう日本選手が出てくると思う」。自分が背負った期待を引き継ぐスラッガーの出現を松井は願っている。

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2011年7月22日のニュース