元阪神・矢野氏見守る前で“直系”後輩が殊勲打

[ 2011年7月16日 10:44 ]

スタンドで母校・桜宮の試合を観戦するスポニチ本紙評論家・矢野燿大氏

 第93回全国高校野球選手権大会(8月6日から15日間、甲子園)地方大会が各地であり、31大会217試合が行われた。大阪では桜宮が延長11回の激闘の末、関大一を9-7で破った。同校OBの元阪神・矢野燿大氏(42=本紙評論家)が見守る前で同氏の小・中・高を通じた後輩、山野雅之捕手(2年)が決勝打を放った。

 抜群の勝負強さを誇った矢野魂は、しっかりと受け継がれていた。7-7で迎えた延長11回1死二、三塁。桜宮・山野の放った痛烈な打球が中前で弾み、死闘を制す決勝の2点を呼び込んだ。

 「大会前も調子が悪く悩んでいたんですが、監督さんからは“思い切っていけ”と言われました。ヒットになって、すごくうれしかったです」

 2年生ながら公立の雄で「4番捕手」の重責を担う男は、矢野氏の直系の後輩だ。同じ瓜破小、中学校の出身で、桜宮進学を希望したのも、そうした背景がある。今春までは投手兼内野手だったが、福原監督から遠投105メートルの肩を買われ6月にコンバート。矢野氏から母校へ寄贈されたという捕手道具一式に身を包み、背番号「2」をつけての公式戦デビューを自らの手で飾った。

 「ワンバウンドを絶対にそらさないことと、盗塁は絶対に刺したい」

 経験は浅いが、投手から信頼される捕手になることを重要視している。初回のピンチでは飛び出した二塁走者を刺し、流れをくい止めた。「肩も強いですし、矢野さんに続く大型捕手になってほしい」。福原監督も大きな期待を隠さない。

 「大阪で優勝して、甲子園でも勝ちたい」

 昨夏は3回戦で大阪桐蔭を下したが、準々決勝で大体大浪商に敗れた。目指すべき道のりは、まだまだ先。偉大な先輩もなし得なかった悲願へ向け、桜宮の熱い夏が始まった。

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2011年7月16日のニュース