井生“遅れてきた松坂世代”13年目弾!

[ 2011年7月16日 06:00 ]

<中・広>1号を含む3安打しスライリーとファンに応える井生

セ・リーグ 広島6-0中日

(7月15日 ナゴヤD)
 石の上にも3年、アーチ一発に13年――。広島・井生の打球が初めてスタンドに飛び込んだ。5回1死。「左腕キラー」として11試合ぶりにスタメン起用された30歳が、川井の138キロ直球を振り抜く。左翼席中段への今季、そしてプロ1号ソロだ。

 「プロに入ったからには正直…。いつかは(本塁打を)という気持ちはあった。これから実感が湧いてくると思う」。98年ドラフト2位で入団した「松坂世代」。13年目での第1号は、野手では史上2番目に遅い記録だ。さらに6回には1死満塁から2点二塁打。2回の左前打と合わせ、3安打3打点の活躍で、チームを4位に押し上げた。

 「13年間、支えてくれた人に感謝したい。ヒーローなんてほど遠い(存在)と思っていた」。大きな期待を背負って入団も、1軍デビューは05年。過去12年で1軍出場は4シーズンだけで、13年目といいながらこの日の初アーチは145試合、279打席目だった。

 入団後に内野から外野に転向。生き残るために捕手にも挑戦した。その生き方は、広島OBで、昨年4月に亡くなった木村拓也さん(当時、巨人内野守備走塁コーチ)にだぶる。がむしゃらに野球に取り組む姿勢。真面目で優しく、後輩にも慕われる。07年から、その木村さんの現役時代と同じ背番号「0」を背負っている。

 「彼にとっても大きい本塁打だった。苦労してきた中で期するものがあったと思う」と野村監督も感慨深げ。遅れてきた松坂世代に、ようやくスポットが当たった。

 ◆井生 崇光(いおう・たかみつ)1981年(昭56)3月12日、福岡県生まれの30歳。東筑3年春に「1番・遊撃」で甲子園出場。98年ドラフト2位で広島に入団。04年に内野から外野へ転向。05年9月29日のヤクルト戦(広島)で、野村現監督の代走としてプロデビュー。昨季は右肘の故障で出遅れて1軍出場なし。右投げ右打ち。1メートル79、80キロ。

 ≪野手では2番目の遅咲き1号≫井生(広)がプロ13年目で初本塁打。04年に投手の工藤(巨)が23年目でプロ初本塁打を記録しているが、野手では83年石山(近)の14年に次ぎ、05年田原(西)昨年飯山(日)に並ぶ2番目の遅咲き1号になった。

 ▼広島・バリントン(8回無失点でリーグトップタイの9勝目。中日戦は3戦3勝)ボールがよく動いていたね。集中して投げることができたよ。

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