被災で岩手・高田から転校の小山・菅野 高田魂届けた

[ 2011年7月12日 06:00 ]

<佐野松陽・小山>スタンドから必死に声援を送る菅野

栃木大会1回戦 小山9―1佐野松陽

(7月11日 栃木市総合運動公園)
 一塁側スタンドの菅野は、得点が入るたびに伝統の「小山音頭」を歌い続けた。「踊りおーどるなーあーら、チョイトおーやーまおーんどヨイヨイ♪」。他の控え部員とともに応援歌を歌う姿は、以前からチームの一員だったかのようだった。

 高田高校(岩手)の野球部員だった菅野は、東日本大震災で両親が被災。父親が亡くなり母親は行方不明になったため、3月下旬に弟とともに母方の栃木県の親戚宅に身を寄せた。小山への入学が決まったが、当初は野球部に入部するつもりはなかったという。「残り4カ月ぐらいですし、自分が入部するのは迷惑を掛けると思って…」

 それでもやはり野球は忘れられず毎日、練習をネット越しに眺めていた。そんなとき小山の中田憲一監督から「このまま高校野球を終わっていいのか」と声を掛けられ入部を決意。裏方仕事も進んでこなした。

 2日の宮城遠征の際には、同じく宮城に遠征していた高田ナインと久しぶりの再会を果たした。「次は甲子園で会おうな」。最後の夏。約束を果たすまでまだ終わらせたくない。

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2011年7月12日のニュース