80試合目でついに…イチロー 新打法で最も遅い1号

[ 2011年6月30日 06:00 ]

<マリナーズ・ブレーブス>初回、先頭打者本塁打を放つイチロー

インターリーグ マリナーズ4―5ブレーブス

(6月28日 シアトル)
 マリナーズのイチロー外野手(37)が28日(日本時間29日)のブレーブス戦の初回、右翼へ今季1号となる先頭打者アーチを放った。チーム80試合目での1号はメジャー11年目で最も遅い一発。左足股関節を意識して取り組んできた新打法が結果につながった。守備でも9回に本塁への返球で補殺を記録。盗塁も決めて11年連続で20盗塁の大台に乗せた。逆転負けを喫したが、背番号51が走攻守で躍動した。
【試合結果】

 ポーカーフェースでベースを1周したイチローを、本拠地の観衆が総立ちで迎えた。初回、初対決となったナ・リーグトップの被打率・189を誇る右腕ハンソンの初球。内角高め直球を迷わず振り抜き、右翼ポール際中段に運ぶ今季1号だ。

 「そりゃ、気持ちいいよ。以前から言っているけど、ゼロでない方がいい。162試合終わるまでに(本塁打数を)1にしたいと思っていました」。チーム80試合目での1号は、自身メジャー11年目で最も遅い。昨年9月11日以来、チーム100試合ぶりの一発はメジャー最長ブランクだ。5月に月間打率・210と不振に陥った。本塁打よりも打撃の形を確立することに集中しなければいけない状況にあった。

 しかし不振の間にイチローは過去の形を取り戻すのではなく、新しい試みに着手した。前後への体重移動を抑え、左足の股関節を軸にして、回転でボールにパワーを伝えるものだ。体が突っ込む形を解消。右翼ポール際への打球でも切れなかったのは、十分に引きつけ、球に力を伝えたからだ。メジャー歴代9位タイとなる通算33本目の先頭打者アーチで、新打法の完成へまた一歩近づいた。

 守備でも9回1死一、三塁でジョーンズの右飛を定位置で捕球し、ワンバウンドで捕手へストライク返球。今季4度目の補殺を記録した。「行くしかなかった。そのために普段キャッチボールをしているわけでしょ。それを体に覚えさせなきゃいけないわけだから」。デーゲームでも一人だけ先にグラウンドで遠投を行う。微妙な距離感覚を失わないための不断の努力がイチローを支える。

 4回に三盗を決め、11年連続の20盗塁にも到達した。正捕手オリボが右太腿裏の違和感で4回途中で交代、試合も1点差で敗れ借金2となったが、走攻守でイチローが輝きを失うことはない。

 ≪通算33本は歴代9位タイ≫イチローの通算33本目の先頭打者弾は、通算3319安打の殿堂入り選手ポール・モリターに並ぶ歴代9位タイとなった。現役では3位に相当する。初球を打ったのは7本目。イチローは日本でも8本の先頭打者アーチを放っており、日米通算は41本。日本記録は福本豊の43本で、イチローは歴代2位の真弓明信と並び、日本記録も視界にとらえている。

続きを表示

2011年6月30日のニュース