「バカボン」七条、初登板初先発でG斬り初勝利

[ 2011年6月29日 06:00 ]

<巨・ヤ>プロ初登板初先発で初勝利を挙げたヤクルト・七条

セ・リーグ ヤクルト4-1巨人

(6月28日 郡山)
 西から昇ったお日さまが東へ沈む――、ような快挙をやってのけた。ヤクルトのドラフト2位右腕・七条が7回3安打1失点でプロ初勝利。人気漫画が由来の愛称「バカボン」の響きとは裏腹に、球団史上初となる巨人戦でのプロ初登板初先発白星を飾った。

 「たくさんお客さんがいる中で投げられただけでも幸せ。4回くらいにちょっと涙が出てきた。(巨人は)怖かったけれど、相川さんのミットだけを見て投げることに集中しました」

 初回は何度も深呼吸するほどに緊張したが、2つの見逃しを含む3者連続奪三振。2回に打線の援護を得て緊張がほぐれた。味方の失策が絡んだ3回2死一、二塁では亀井に右前適時打を浴びたが、最少失点で切り抜け、5回以降は3イニング連続で3者凡退に仕留めた。

 「いろんな人に支えられてここまできた。嫁、家族、チームメート…みんなに感謝したい」

 直球は最速144キロで無四球勝利。コーナーにきちっと投げ分ける制球力は、幼少時に「バカボンのパパ」から教えられた。軟式野球で投手を務めた父・教(さとし)さん(59)はキャッチボールでミットを構えた場所以外はボール判定。七条が試合で打たれると1時間にわたって熱弁をふるった。一方、バカボンはパパでもある。開幕ローテーション入りが予定されていたが、3月末に手術歴のある右肩を痛めて離脱。春季キャンプ中に誕生した長男・直輝ちゃん(4カ月)を痛みから抱っこできない日々が続いたが、息子の笑顔が支えになった。

 高校時代からドラフト候補に挙げられる中、苦労を重ねてきた。26歳ルーキーの快投でチームは2位・中日に今季最大の3・5ゲーム差をつけた。「本当によく投げてくれた」と小川監督。プロ初勝利まで遠回りもしたが、これでいいのだ。

 ≪巨人打線の声≫
 ▼ラミレス いい投球だった。ストライクゾーンを見逃さないようにと思っていた。

 ▼坂本 丁寧に低めを突いて投げている印象。

 ▼亀井 新人離れした投球で術中にはまってしまった。打てそうで打てない感じ。

 ▼長野 高校時代にも対戦したが、当時と投げ方がずいぶん変わっていたので…。

 ≪七条ってこんな人≫
 ☆生まれ 1984年(昭59)7月10日、宮崎県延岡市生まれの26歳。延岡工―日産自動車九州―伯和ビクトリーズ。1メートル80、84キロ。右投げ右打ち。血液型A。家族は09年11月に結婚した千春夫人(26)、長男・直輝(なおき)ちゃん(4カ月)。

 ☆球歴 北浦小3年の時に「北浦少年野球クラブ」で野球を始める。高3春に甲子園初出場して2回戦敗退。夏は県大会決勝で敗れた。社会人では都市対抗に出場したが09年12月の廃部に伴い、伯和ビクトリーズに移籍。昨年の都市対抗1回戦のかずさマジック戦で完封勝利。球種はスライダー、カーブ、チェンジアップ、スラーブ。

 ☆ニックネーム 社会人時代に上司から「似ている」と指摘され「バカボン」が定着。ハンカチ王子こと日本ハム・斎藤佑樹と同じ名前の読み「ゆうき」であることから、入団前に仲間から「チリ紙王子」と命名された。

 ☆尊敬する人 ヤクルトの黄金期を代表する守護神・高津臣吾。「高津さんのようにプレーも凄いし、面白くてファンから愛される選手になりたい」

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