相双連合「栄冠は君に輝く」で3校一致団結!

[ 2011年6月24日 06:00 ]

組み合わせボードの前で握手する相双連合の遠藤主将(右)と喜多方の桜田主将

 第93回全国高校野球選手権大会(8月6日から15日間、甲子園)の福島大会(前期7月13~17日、後期同21~27日)の組み合わせ抽選会が23日、福島県郡山市内で開かれた。福島第1原発事故の影響で転校が相次ぐなどして部員が減少した双葉翔陽、富岡、相馬農の3校で結成された「相双連合」は、1回戦で喜多方との対戦が決まった。さらに同日、茨城、山梨、宮崎大会の組み合わせも決定。また地方大会は沖縄で1回戦を行い、昨年の甲子園で春夏連覇を達成した興南が中部農林に23―0で大勝。北北海道大会も開幕した。

【福島県大会組み合わせ】

 合同チームの初戦の相手は遠藤剛司主将(双葉翔陽3年)の左手にゆだねられた。無数のフラッシュを浴びながら「相双連合、9番です」と大きな声。会場から起きたどよめきが注目度の高さを物語っていた。

 東日本大震災後、各校の多くの部員は家族とともに避難、県内外に転校していった。富岡は部員が7人から1人に、相馬農は4人から2人に減少。部員が9人に満たないことから、ともに地方大会への出場は難しい状況だった。一方で、19人から14人となった双葉翔陽は単独でも出場は可能だったが、話し合いの結果、地域のつながりを重視して、日本高野連が特例措置での適用を決定した連合チームを結成することになった。

 3校が1つのチームとなったため、服部芳裕監督(52)によると「校歌は3勝して1校ずつ順番に流していこうという案もあった」。しかし、福島県出身の作曲家・故古関裕而(ゆうじ)氏が手がけた夏の高校野球の大会歌「栄冠は君に輝く」をチームの校歌代わりにすることに決定。それぞれの校歌は、シートノックの際に球場で流されることになった。

 連合チームの場合、ユニホームはバラバラでも出場は可能。ただ、高野連の規定で着用する物ののうち何か一つは統一する必要がある。そのため、「相双」と刺しゅうされた紺色の帽子を発注。24日にも届く予定で、早ければ25日に行われる初の練習試合でお披露目となりそうだ。

 ナインは平日、県内各地の計6校の公立高校に散らばって学校生活を送っている。全体練習は週末を利用した週1回のみ。決して満足な練習環境ではないが、服部監督は「徐々にチームの形になってきている」と手応えをつかんでいる。

 開幕まで残された練習は3回。双葉翔陽のメンバーにとって初戦の喜多方は1年前の3回戦で敗れた相手で「打撃には自信があるので、点の取り合いに持ち込んで勝つ。リベンジしてみせる。仲間も増えたので、3つのチームの力を合わせて全力で頑張りたい」と遠藤主将。野球ができる喜びをかみしめながら、歴史的勝利に向かって17人が一丸となる。

 ▽「栄冠は君に輝く」 戦後の学制改革で48年に「中等野球」から「高校野球」へと変わったことを記念し、夏の甲子園の大会歌の歌詞を公募。採用された加賀大介さんの歌詞に作曲家の故・古関裕而氏が曲をつけて49年から夏の甲子園の大会歌に採用された。開会式と閉会式で歌われ、甲子園を中継するNHKの学校紹介の際にも流されることで有名。「雲は湧き 光あふれて」で始まる歌詞は多くの野球ファンの間で親しまれている。

 ▽相双連合のチーム名の由来 双葉翔陽(大熊町)、富岡(富岡町)、相馬農(南相馬市)の3校は、福島県沿岸部の相双地区という地域に所在している。そのため、地域名に起因して「相双連合」というチーム名となった。校名の頭文字をとったものではない。

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