東洋大・高橋監督　日本一の技「内角の真っすぐ狙え」

＜東洋大・慶大＞１０回無死一塁、サヨナラ２ランを放つ東洋大・小田

全日本大学野球選手権決勝 東洋大３―１慶大

（6月12日 神宮）
　試合を決めたのは東洋大・小田だった。延長１０回無死一塁で右越え２ラン。８４年の法大・山本貴以来、大会史上２本目のサヨナラ優勝弾に「ホームでの出迎えは気持ち良かった」と笑顔をはじけさせた。

　高橋昭雄監督の信念が実った。ここまで３試合で１安打の小田を「守備で頑張れ」と、これまで通り１番で起用。その小田は初回に中前打を放ち、先制のホームを踏んだ。そして１０回無死一塁。「本来なら８割以上、バント」という場面でも、信頼して強攻策を取った。中盤から左打者へ内角球が増えているのを感じた指揮官の指示は「内角の真っすぐを狙え」。普段よりベースラインから一歩下がって立った小田は、初球の内角１４４キロ直球を完璧にとらえた。

　監督就任４０周年の節目の年に連覇達成。慶大・江藤省三監督、東京国際大・古葉竹識監督と元プロの指揮官が注目された大会中「俺はアマチュアのプロだから」と漏らしたこともある。「本当にうれしい。夢のよう」。負けて優勝が決まったリーグ戦では実現しなかった胴上げ。体重９０キロを超える大きな体が３度、宙を舞った。