松井 逆襲の一発!監督解任直後に先発で結果

[ 2011年6月11日 06:00 ]

<アスレチックス・ホワイトソックス>試合を見守るメルビン監督代行(右)とアスレチックス・松井秀喜

ア・リーグ アスレチックス4-9ホワイトソックス

(6月9日 シカゴ)
 アスレチックスの松井秀喜外野手(36)が9日(日本時間10日)、逆襲の一発を放った。左腕相手ながら6番・DHでホワイトソックス戦に先発起用されると、7回に日本選手では史上3人目の1000長打となる4号2ラン。この日、ボブ・ゲレン監督(49)の解任と、ボブ・メルビン氏(49)の監督代行就任が発表された。チームは10連敗を喫したが、自身24試合ぶりの一発を含む2安打2打点で、新体制に存在をアピールした。
【試合結果】

 打球は弧を描いて右翼フェンスを越えた。5点を追う7回無死一塁。松井のバットがバーリーの投じたスライダー気味の甘い球を叩いた。5月2日にサヨナラ本塁打を放って以来自身24試合87打席ぶりの一発。かみしめるように、ゆっくりと一周した。

 「しっかり打つことができた。久しぶりにいい打撃だったと思う」

 5月は月間打率・197。技術的な原因は腰の開きだった。ジェラルド・ペリー打撃コーチが、好調だった昨季後半(エンゼルス)のVTRと比較し発見。「腰の開きが若干早く、球を呼び込むことができなくなっている」という助言に松井も納得し、2人で修正に取り組んだ。この日の2安打はいずれも球を呼び込んで打ち返した。

 激動の1日だった。この日早朝、9連敗中の不振を理由にゲレン監督が解任。松井も「びっくりした。朝起きてそういう報告が来て知った」と驚きを隠さなかった。

 ただ風は松井の背中を押した。前監督の下では左腕に弱いというレッテルを貼られ、3号を放った5月2日のレンジャーズ戦以来、34試合中23試合の出場にとどまった。左腕相手の先発はその5月2日以来。そしてこれが、今季4本中3本目の左腕からのホームランだ。「前監督には申し訳ない気持ちはあるが、新しいスタートと思って頑張りたい」と話した。

 メルビン監督代行は選手との対話を重視する。この日の試合前、松井も監督室に呼ばれ約10分間会談した。「どれだけチームに必要か伝えた」という新しいボスに対し、松井は「非常に情熱を感じる」と好印象を口にした。マリナーズ監督時代、当時ヤンキースだった松井の怖さを肌で感じていた。先発起用の期待に応える姿を「きょうの活躍は自分が見てきた姿だ」と絶賛。今後についても「あすも先発。コンスタントに打席に立ってもらいたい」と話した。

 21日(日本時間22日)のメッツ戦からDHがない敵地の交流戦が始まる。現時点では代打要員だが、ビリー・ビーンGMは本紙の取材に「誰か1人が好調になって引っ張っていってくれること」をチーム浮上の条件とした。松井ほどの適任者はいない。息を吹き返したゴジラも「そうなればいい。そのぐらいガンガン打てればいい」と名乗りを上げるつもりだ。さあ、逆襲の始まりだ。

 ≪1000長打は、王、野村に次ぐ史上3人目≫松井が1000長打を達成した。5月17日のエンゼルス戦で二塁打して以来の長打で日本選手では王貞治(巨人)、野村克也(西武)に次いで史上3人目の快挙。2379試合での到達は最速。大リーグで1000長打を放った選手は33人おり、1位は1477本のハンク・アーロン(主にブレーブス)。さらにこの日の本塁打で日米通算500号にもあと3本と迫った。一方、ア軍はこの日敗れて08年以来の10連敗。1968年以降では6度目で、1977年には14連敗を喫している。

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