中田、2戦連続V打!出てきた“4番の風格”

[ 2011年6月10日 06:00 ]

<日・中>試合後、笑顔で陽(右)を迎える中田

交流戦 日本ハム3-2中日

(6月9日 札幌D)
 4番がサマになってきた。日本ハムの中田翔外野手(22)は9日、中日戦の8回に2試合連続の勝利打点。同点に追いつき、なお1死二、三塁の見せ場で、粘って8球目に決勝犠飛を打ち上げた。これで打点をマークした試合の勝率は・824。日々、成長を続ける中田のバットで、チームは4連勝を飾り、交流戦の勝ち越しを決めた。

 昨季セ覇者のセットアッパー・浅尾の剛球勝負にも中田は冷静だった。8回、糸井の中前適時打で同点とし、なお1死二、三塁。三塁ベース上の俊足・陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)を視界に捉えていた。「ダイさんなら少々の当たりでも(本塁へ)還ってこられる。最低限の仕事はしよう」

 初球148キロ、2球目152キロの直球をファウル。ここからが12試合連続4番を守ってきた成長の証だ。空振りを誘ってきたフォーク、スライダー、152キロ直球を平然と見逃し、フルカウントに。次のフォークと直球はファウルで逃げた。「三振は一番いらない。甘いボールは来ないけど粘ろう。全体的に(ボールを)見られた」。運命の8球目、148キロ内角速球を力で外野に運んだ。

 浅めの飛球ながら三塁コーチの真喜志内野守備コーチは迷わずゴーサイン。勝ち越しのホームに滑り込み、ガッツポーズする陽岱鋼に、22歳の主砲は「あの近さなので無理だろうと。さすがダイさん。最後は詰まったけど前に飛ばせた。粘れたことが一番大きい」。2試合連続の勝利打点を控えめに振り返った。

 小谷野の故障により、5月25日の中日戦(ナゴヤドーム)で初めて4番に座ってから12試合。中田の変化はある数字に表れている。第2打席までは21打数1安打、打率・048ながら、第3打席以降は18打数8安打、打率・444に跳ね上がる。4番での4打点はすべて第3打席以降。それまで凡退していても、終盤の勝負どころで期待に応える。中田は4番の役割を十分に果たしている。

 「いい経験をさせてもらっている」。4番に座ってからの口癖だ。容赦ない内角攻め、敬遠など下位では味わえない真剣勝負を通じ、チームに貢献してきた。当初こそ力みが目立ったが、梨田監督は「期待しているのだから簡単に打順は変えない」と不動の信頼を寄せる。それから2週間、進化を認めつつある指揮官は「ツーナッシングで終わったと思ったけど、あとは余裕があった」と中田の一打を称えた。

 守備でも8回2死で大阪桐蔭の先輩・平田の左翼線打を、二塁へワンバウンド返球しタッチアウト。「打つ方でも集中できた。流れはあると思う」。そして、その裏の決勝犠飛につなげた。「ファイターズらしい点の取り方で勝てた。その中に自分がいるのですから」。リーグ7位の31打点目。交流戦勝ち越しを決めたチームを支える一人であることは間違いない。

 ▼日本ハム・陽岱鋼(激走で決勝のホームイン)正直やばいと思ったけど、三塁コーチが「行け」と言ったので。最高です。

 ≪勝利打点、チーム最多6度目≫中田(日)が8回勝ち越しの左犠飛で前日中日戦の先制二塁打に続き、2試合連続の勝利打点。これで今季の勝利打点は6度目で、稲葉の5V打を抜きチーム最多になった。また2試合連続V打はプロ入り初めてだ。犠飛を放った浅尾(中)とは09年6月14日の初対戦で二塁打を放っており、通算2度の対戦で凡退はない。昨年まで中田が打点を挙げた試合にチームは11勝6敗(勝率・647)だったが、今季は14勝3敗1分け(・824)。中田の打点がチームの勝利に結びつくケースが増えている。

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