古葉VS江藤!史上初の元プロ野球監督対決へ

[ 2011年6月10日 06:00 ]

全日本大学野球選手権の準決勝で対戦する慶大・江藤監督(左)と東京国際大・古葉監督

全日本大学野球選手権準々決勝 東京国際大1―0日体大 

(6月9日 神宮)
 神宮球場と東京ドームで準々決勝2試合と2回戦3試合が行われた。広島を3度の日本一に導いた古葉竹識監督(75)率いる初出場の東京国際大は、1―0で日体大を撃破。巨人、中日でプレーした江藤省三監督(69)率いる慶大は愛知学院大を4―1で下した。これで両校は11日の準決勝(神宮)で顔を合わせることになり、大会史上初となる元プロの指揮官対決が実現することになった。

 初戦から2試合続けてタイブレークを制し、準々決勝は古葉監督自らの座右の銘である「耐えて勝つ」を体現する1―0の逃げ切り。初の全国舞台で4強進出を決めた75歳の名将はこう切り出した。

 「(4強を)まさかと思う半面、ここに来る大学はみな日本一を目指している。ウチもチャンスをもらったということ。きょう(のヒーロー)は伊藤以外にないんじゃないですか」

 初戦から3日連投となった伊藤が6回まで5安打、6四球。7回以外は全て走者を許すなど苦しい投球だった。それでも古葉監督は、ピンチを迎えるたびに小走りでマウンドに駆け寄った。9回1死一塁の場面でも「おまえに任せた。自分の決めたボールでしっかり投げろ」とマウンド上でゲキ。伊藤は2死満塁までピンチを広げたが、「(監督が)タイムをかけてくれて助かった」と最後は140キロの直球で三振に打ち取った。

 攻撃でも、指揮官の読みがズバリ的中した。今大会2試合で7番を打ち、打率・143と不振だった広島監督時代の教え子の今井譲二氏の次男・雄大を「良くなりつつあった」と1番に抜てき。すると、雄大は初回の初球を中前へ運び、1死二塁から榊原の右前打で父譲りの快足を飛ばして先制のホームイン。この日は3安打の大活躍で指揮官の起用に応えた。

 準決勝では元巨人、中日の江藤監督率いる慶大と激突する。3月29日にオープン戦で対戦した際には4―1で勝ち「お互い選手権に出られたらいいな」と励まし合い、リーグ優勝後には「対戦できたらいいな」と話していたことがついに現実となる。

 就任当初、新入生が上級生と冗談を言い合う姿に、「よっぽど自分がしっかりしないといけないな、と思った」と振り返る指揮官。怒り役として礼儀と規律を求めてきたが、今はもうなれ合いの姿はチームにない。「(準決勝も)選手はやることを精いっぱいやってくれれば」。1984年に広島を日本一に導いてから27年。大学球界の日本一まであと2勝だ。

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