松坂 8日にも右肘の腱移植手術へ

[ 2011年6月7日 06:00 ]

<レッドソックス・アスレチックス>右肘を気にしながら試合を観戦する松坂

 右肘の腱移植手術(トミー・ジョン手術)を決断したレッドソックスの松坂大輔投手(30)が、6日(日本時間7日)に球団と手術日を含めた話し合いを持つことが分かった。早ければ8日(同9日)にもロサンゼルス近郊の病院で手術を受ける。5日(同6日)のアスレチックス戦前には初めて胸中を明かし、レッドソックスのユニホームで再びマウンドに立つ決意も口にした。

 松坂はチームが移動日の6日に首脳陣やチームドクターのトム・ギル医師らと手術日を含めた日程を調整することになった。執刀はロサンゼルス近郊の病院で行われ、肩、肘の権威のルイス・ヨーカム医師が担当。西海岸への移動を考えれば、手術は最短でも8日以降になる見通しだ。

 トミー・ジョン手術は完治までは8~12カ月を要するといわれる。今後は長く厳しい孤独な戦いが強いられるが「大塚さん(元レンジャーズ)に電話していろいろ聞いてみたり、田沢(レッドソックス)に聞いてみたりしました」。リハビリ生活に向けてすでに情報収集も始めている。

 今回の手術は左手首から手首を動かす長掌筋(ちょうしょうきん)の腱を取り、右肘に移植する形がとられる。数時間にも及ぶ大がかりなもので、右肘には20センチ以上の傷痕が残る。現在の成功率は90%前後。とはいえ、未知数な要素も多い。「正直不安な気持ちしか今はない。少しでも希望が持てればいいですけど」。マウンド上では強気な性格の松坂も、不安は完全に払しょくできていない。

 昨年4月に同手術を受けた田沢は、今年の5月20日にマイナー戦に復帰した。同じ先発投手で09年8月3日が執刀日だったボルケス(レッズ)は昨年の7月17日(348日)。08年8月8日に手術したハドソン(ブレーブス)は09年9月1日に復帰(389日)と、回復時期は十人十色。当面は懸命なリハビリとの闘いが待っている。

 来年は6年契約の最終年。順調に回復しても、復帰は来年7月の球宴前後となる。常勝を義務づけられているレ軍ではライバルも多い。取り巻く状況は厳しい。それでも乗り越える覚悟はできている。地元メディアから来季の復帰の可能性について質問されると「レッドソックスのユニホームを着て、もう一度マウンドに戻ることを願っている」と不退転の決意を口にしていた。

 5日のア軍戦後には「ファミリーデー」として選手やスタッフの家族のために開放されたグラウンドで、家族水入らずの時間を過ごし心を休めた。戻ってくる日を信じて、松坂は人生初めて体にメスを入れる。 

 ≪ルイス・ヨーカム医師≫トミー・ジョン手術の創始者と言われるフランク・ジョーブ医師の指導を仰ぐ。肩、肘において全米一、二の執刀医とされる。現在はエンゼルスのチームドクターも務める。02~03年には1年間で100件以上の腱移植手術をこなした。黒田(ドジャース)福留(カブス)ら日本選手の執刀も多数行う。一昨年のドラフト全体1番目指名のストラスバーグ(ナショナルズ)も同医師の下で腱移植手術を受けた。

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2011年6月7日のニュース