涌井 巨人戦初勝利 11球団から白星

[ 2011年6月2日 06:00 ]

<西武・巨人>完投勝利の涌井はファンのタッチ攻めに遭う

交流戦 西武4―1巨人

(6月1日 西武ドーム)
 球速は141キロだった。3点リードの7回1死一、二塁。一発が出れば同点の場面で、涌井がギアを上げた。1ボールからの2球目。内角を狙った球が甘く入ったが、阿部の打球は二ゴロ併殺となり、ピンチを脱した。

 「スライダーを力を入れて投げたので、抜けた感じになりました。クリーンアップだったし、しっかり抑えられて良かった」

 巨人戦は過去4試合で0勝2敗、防御率は8・82だった。「巨人に勝っていないのは分かっていたので、早く勝ちたいと思っていました」。4回に坂本にソロを許したが、被安打3で、自身初の3試合連続完投勝利。球数102球は9回完投では自身最少で、防御率1・43はライバルを抑えてリーグトップに浮上した。

 恩返しをしたい打者がいた。国際大会でバッテリーを組んだ阿部だ。08年日本シリーズではバックスクリーンまで特大の一発を浴びた。09年のWBCで再会すると、投球モーションの癖を指摘された。「国際大会では相手は癖を研究してくるから。直した方がいい」。自分では気がつかなかった投球に入るまでの動作を修正し、その年には沢村賞を獲得するまでになった。この日の対戦は全力勝負で3打数無安打。スライダーが140キロを超えたのは、阿部への1球だけだった。

 再び貯金を1とした投球に、渡辺監督は「涌井からしたら信じられない球数の少なさ。今の投球は理想型」と称えた。

 11球団から勝利を挙げた涌井は「投げる試合はいつでも勝ちたいと思っているので」と無関心を装った。それでも、交流戦トップタイの20勝は、阿部を封じてつかんだ大きな1勝だった。

 ≪巨人戦通算5試合目で初勝利≫涌井が自身初の3試合連続完投勝利。交流戦は通算20勝で、和田(ソ)とともに最多勝利だ。この日は通算9度目の無四死球完投で投球数は102。自身の完投勝利試合では06年4月23日楽天戦、前回25日広島戦(いずれも完封)の各112球を下回る最少投球数になった。また、巨人戦は過去0勝2敗で通算5試合目で初白星。西武を除く11球団から白星をそろえたことになる。

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2011年6月2日のニュース