沢村 プロ初完投で40日ぶりの2勝目

[ 2011年6月1日 06:00 ]

<西・巨>完投勝利を挙げ、笑みがこぼれる沢村

交流戦 巨人4-1西武

(5月31日 西武D)
 長かった。待ちに待った2勝目だ。巨人・沢村拓一投手(23)が31日、西武戦(西武ドーム)に先発。4安打1失点のプロ初完投勝利で、4月21日の阪神戦(甲子園)以来の白星を手にした。5回に先制本塁打を許すも、7回無死一塁で長野久義外野手(26)が中堅右に逆転6号2ラン。これまで好投を続けながら援護に恵まれなかったルーキーが、40日ぶりの白星に笑顔をはじけさせた。

 待ち焦がれていた瞬間。沢村はマウンド上で、はにかんだような笑顔を浮かべた。最速152キロの直球を軸に自己最多の130球の熱投。9回4安打1失点で、自身初完投で2勝目を手にした。

 「ローテーションで回っている以上勝たなきゃいけないのに、なかなか勝てず迷惑を掛けた。これを機に頑張りたい」。4月21日阪神戦の初勝利から40日。その言葉には、安ど感とともに新たな決意がにじんでいた。

 3連敗を喫するなど、5試合連続で白星なし。「今までストレスを感じたことがない。寝たら忘れます」。登板翌日も意識して明るく振る舞っていたが、内心は違った。5月23日オリックス戦(東京ドーム)から、登場曲を洋楽から自身の大好きなGReeeeNの「green boys」に変更。「僕ら何度でも何度でも立ち向かえるさ。越えて行くためもがきながらも進もう」――。そんな歌詞に、自身の境遇を重ね合わせた。

 自慢の直球の制球が安定せず、痛打されるパターンが続いた。しかしこの日は違った。外角に広いストライクゾーンで勝負するため、序盤は初球から対角線の内角高めを徹底して突き、踏み込ませなかった。4回まで完全投球。5回に中村に先制弾を許すも、逆転してもらった7回以降は1安打、二塁も踏ませなかった。「打たせるところは打たせて勝負するところは勝負。メリハリをつけた」。ファウルを含めた初球のストライク率は打者32人中、75%の24人。8三振のうち7個は1~6番の上位から奪った。シーズン50三振はセ・リーグ1位タイ。川口投手総合コーチは「最高の投球。四球が少ないし球数も少ない。これが本物なら15勝できる」。原監督も「きょうが一番良かった。自分の投球をすれば、臆する相手はいないということが分かったんじゃないか」と絶賛した。

 特別な存在がいる。「(ソフトバンクの)斉藤和巳さん(現リハビリ担当コーチ)が物凄く好きなんです。マウンドで醸し出す“俺は勝つんだぜ”みたいな雰囲気が。ああいう投手になりたい」。右肩痛からの現役復帰を目指す斉藤は79勝23敗で、勝率・775を誇る。チームを白星に導く絶対的なエースへ。「勝てなかった時は苦しかったけれど、あの時負けて良かったなと思える充実したシーズンにしたい」。意志の強い真っすぐな目は、さらに白星を積み重ねる未来を見ていた。

 ≪巨人の新人完投勝利は4年ぶり≫沢村(巨)がプロ入り初完投で今季2勝目。巨人の新人完投勝利は07年5月30日ソフトバンク戦で金刃がマークして以来4年ぶりになる。この日の失点は中村(西)のソロ本塁打による1点だけ。沢村は今季8試合に先発し、すべて6回以上を投げ自責点は3点以下。先発投手が投球回6回以上で自責点3以下のクオリティースタート(QS)率100%を継続中だ。両リーグ規定投球回到達投手でQS率100%は9人いるが、新人は沢村しかいない。巨人のルーキーでは99年上原がデビューから19試合連続でクオリティースタートを記録。シーズンQS率88%と安定した内容で20勝を挙げたが、沢村はどうか。

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2011年6月1日のニュース