中島 わざと空振り、勝負球をスタンドへ同点弾!

[ 2011年5月29日 06:00 ]

<西・ヤ>6回、左中間へ同点2ランを放つ西武の中島

交流戦 西武3-2ヤクルト

(5月28日 西武D)
 空振りにも高度な空振りがある。西武・中島裕之内野手(28)は、28日のヤクルト戦で6回に左腕石川から同点の7号2ラン。第2打席で凡退したカットボールとほぼ同じ軌道の内角高め直球をわざと空振りし、勝負球の外角球をスタンドまで運んだ。天性の感覚と究極のバットコントロールから生まれた一発。チームは3連勝で、勝率を4月19日以来となる5割に戻した。

 タイミングが合わずに見逃すことはあっても、スイングの途中でバットの軌道を変えることは容易ではない。それを平然とやってのける。右打者の中島が、5年連続で打率3割をクリアしている理由は、自在にバットを操る技術にあるのかもしれない。

 6回の同点2ランは、3回の好機に倒れた三邪飛が伏線となった。「前の打席で同じような軌道だったので、(バットに)当てたら嫌だなと思ってわざと空振りしました」。3回は初球の内角高め135キロカットボールに手を出し、詰まって凡打となった。6回の初球も同じく内角高め、カット気味の136キロ直球。瞬時に球の軌道を察知し、前の打席と同じ凡打を回避するために空振りし、次のチャンスを得た。

 この空振りは、ヤクルトバッテリーに配球の変化をもたらす。2打席目まではすべて内角球。この打席も中島が内角を待っていると読んで、2球目以降は3球連続で外角に投じた。2ボール1ストライクから外角球を見逃した時も、ヤクルト・川本は「少し体が開いたので内角を意識していると思った」という。

 こうなれば、5球目の勝負球は必然的に外角となる。外角低めへの137キロ直球。中島は左足を踏み込み強引に左中間スタンドに運んだ。追い込まれた状況となり、中島は何を考えていたのか。

 「内角直球と、外寄りの浮いたシンカー。その間の球なら全部打とうと思っていました。僕はベースから離れて立っているので、踏み込んで行きました」。内角への意識を持ちながら、外角球を引っ張る技術とバットコントロール。中島にしか打てない2ランだった。

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2011年5月29日のニュース