沢村緩急自在の投球 直球見せ球にカーブで打ち取った

[ 2011年5月24日 06:00 ]

<巨人・オリックス>5回2死、梶本勇に中前打を打たれる巨人・沢村

交流戦 巨人1―4オリックス

(5月23日 東京D)
 打者心理を読み切って緩い球を投げ込む度胸。そこに巨人・沢村拓一投手(23)の成長があった。オリックス戦に先発し、自己最多の11三振を奪い、7回1失点。勝利投手にはなれなかったが、直球の威力だけでねじ伏せるこれまでの投球スタイルを一新。カーブを決め球に使うなど、新たな側面を見せた。

 自慢の直球を残像に、緩い球で仕留める。その象徴的場面が同点で迎えた5回2死一、二塁のピンチだった。

 「あそこは(今まで)僕の選択肢にもなかった。相手にもなかったと思う」

 フルカウントから選択したのは外角低めへのカーブ。これまではカウント球として使ってきた球種。戸惑いながら出したイ・スンヨプのバットが空を切った。

 この日は4回までの7三振のうち、6個が直球を決め球に奪ったもの。それまで李スンヨプと対戦した2打席でも、計10球中カーブは1球も投げなかった。5回の勝負どころ。李スンヨプが速球に比重を置きながら、スライダー、フォークに対応することは想定される。そこでの緩いカーブの選択。女房役の阿部は「俺のミットをめがけて投げるんじゃなくて、打者を見て投げられるようになってほしい」と常々話す。

 もう一つ、沢村が強く意識したのは「リラックスして投げること」。前回登板だった17日の楽天戦(Kスタ宮城)では最速155キロを記録したが、この日は149キロ。力むと左足が突っ張る悪癖。余計な力を抜くことで左膝が曲げられ、その分、リリースポイントが前に行く。そのため球速は出なくても力のあるボールがいった。同時に変化球の制球も安定。スライダーでもカーブでもストライクが取れることで、投手有利のカウントに持ち込める。3回まで35球と、序盤の球数を減らせた要因ともなった。

 「1勝するのは難しいな。でも感覚は良かったと思う」。4月21日の阪神戦(甲子園)以来、白星は遠ざかるが、大きな収穫を得たマウンドだった。

 ▼巨人・川口投手コーチ(沢村について)落ち着いた投球ができたという点では、今までで一番良かった。

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2011年5月24日のニュース