“1期生”大広やった!プロ初打点でサヨナラ!

[ 2011年5月22日 06:00 ]

<楽・ヤ>9回、サヨナラ打を放ちナインに祝福される大広(左)

交流戦 楽天3-2ヤクルト

(5月21日 Kスタ宮城)
 プロ7年目の苦労人がやった。楽天・大広翔治内野手(28)が21日のヤクルト戦で同点に追いつかれた直後の9回、プロ初打点となるサヨナラ打を放った。07年3月28日のソフトバンク戦(ヤフードーム)以来、実に1515日ぶりの安打が、セ・リーグ首位相手の連勝に導く値千金の一振り。球団創設年のドラフトで入団した1期生が、杜の都に歓喜の叫びを響かせた。

 無我夢中だった。9回に抑えのサンチェスが3試合連続救援失敗で1点差を追いつかれたその裏1死一塁。大広が真ん中へのスライダーに食らいついた。打球は左翼線で弾み、一塁から鉄平が激走。プロ初打点が、Kスタ宮城での今季初サヨナラとなった。

 「仙台での試合。被災地に行き、その光景が今も目に焼き付いている。何とか強いところを見せたい。一歩も引かずに、と気持ちだけでした」

 楽天1期生としてドラフト6巡目入団。07年3月28日のプロデビュー戦で2安打して以来、35打席ぶり、実に1515日ぶりの安打だった。腰のヘルニアなど故障続きでここ2年間は1軍出場さえなし。07年には経験のない右翼で出場し、プロ野球記録の1試合3失策も演じた。7年間地獄を見てきたつもりが、それ以上の苦しみを知った。

 開幕前に東日本大震災で被災した県内の東松島市を慰問。「死体捜索の横でおばあちゃんが震えていて。心が痛んだ。僕も野球でしんどい思いをしたけど、野球できるだけで幸せだなと」。開幕1軍も結果を残せず降格し、前日に再登録された。「仙台ではそういう方も見てくれている。ダメでも向かってく気持ち。それを心掛けたから守備であのプレーも出た」。8回2死一、三塁で宮本のゴロを横っ跳びで止め攻守にチームを救った。

 昨秋から新任の田淵ヘッド兼打撃コーチに付きっきりで指導を受けた。伝授されたのが、骨盤の軸回転を意識し飛距離アップにつなげる「骨盤打法」。骨盤の標本を手に動きを意識させられ「ヘッドが遅れ、右方向へのファウルが多かった。そうじゃなく、強く左中間にはじき返すスイング」と大広。指南通りの豪快な引っ張りに田淵コーチも「うれしいわな。大事な場面で。あとは本塁打だな」と目尻を下げた。

 よもやの同点劇に怒髪天をついた星野監督も「初打点か。いいところで打った。守備もナイスプレーだった」と苦労人を称えた。「今年は最後のチャンスと思ってますから」と繰り返した大広。7年間分の恩返しはこれからだ。

 ◆大広 翔治(おおひろ・しょうじ)1982年(昭57)7月29日、群馬県生まれの28歳。桐生一では一場(現ヤクルト)とともに出場した99年夏の甲子園で優勝。4番を務めた決勝の岡山理大付戦では本塁打も記録するなど高校通算44本塁打。東洋大では04年に世界選手権に出場し、同年ドラフト6巡目で楽天入団。和製大砲と期待されながら昨季までの6年間で1軍出場は19試合のみ。1メートル83、90キロ。右投げ右打ち。

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