今季初スタメンの上本“躍動”3安打2打点

[ 2011年5月18日 06:00 ]

<オ・神>1回1死、上本は中前打を放つ

交流戦 阪神5―4オリックス

(5月17日 京セラD)
 「2番・遊撃」で今季初スタメンの阪神・上本博紀内野手(24)が交流戦の開幕戦で躍動した。打っては適時二塁打2本を含む3安打2打点の活躍で白星発進に貢献。走っても今季チーム初の三盗を決めるなど1試合2盗塁でチームに勢いを付けた。今季の猛虎に欠けていた機動力をもたらしたニューヒーローの活躍で関西ダービー初戦を制した。

 持っている、の一言で片付けられない。強いハートが生み出す勝負強さ。そして、鋭い観察力と類いまれなるセンス。上本の俊足が周囲の度肝を抜いた。「作戦なので何とも言えないですが、いつも次の塁は狙っています」

 そう振り返ったのは1点を追う3回だ。1死一塁から左中間へ同点適時打を放った。だが、ここからが真骨頂だった。鳥谷が四球を選び一、二塁で打者・新井の初球にタイミングよくスタートを切った。三塁へ無駄のないスライディング。捕手からの送球より一瞬早く、上本の足がベースに触れた。好機を広げて4番打者の負担を減らし、右前打で勝ち越しのホームを踏んだ。本人は作戦について口を閉ざしたが、久慈守備走塁コーチがその真相を明かした。

 「サインだよ。鳥谷には指のこともあるしタイミングが合わなければいかなくていい、と言っていた。よく初球でいってくれたね」

 今季チーム初の三盗を決めた小兵に、コーチも最敬礼だ。初回には1死から中前打で出塁し、続く鳥谷の3球目に二盗を成功させた。1試合2盗塁も今季チーム初だった。2番に抜てきした真弓監督も「足が使えるから?もちろん。攻撃に勢いがなかったので、ああいう攻撃で勢いが出る。走る選手がいるからああいう攻撃ができる」と合格点を与えた。

 勝負のプロ3年目。上本は野球で結果を残すために大好きだった釣りを封印した。物心ついた時から、練習がない時は自転車で川や海に行き釣りに没頭した。70センチのスズキを釣ったこともある腕前。趣味の欄ではなく、特技の欄に「釣り」と書くほど大好きだったが、きっぱりとやめた。

 「釣りは野球をやめてもできますから。この世界で野球ができる時間は限られている。今は1軍の試合に出たくて出たくて仕方がない。1軍で活躍することしか考えられないです」。全ては野球に集中するため。オフには課題克服へボールの握り替えという地味な練習を繰り返した。

 決意と努力は裏切らなかった。鳥谷の右手人さし指負傷で代わって入った15日の中日戦では決勝打。今季初スタメンのこの日は3安打2打点2盗塁の大暴れ。それでも満足はできない。「常にうまくなろうと思っているので。それがなければ終わってしまう気がする。常に競争なので上を目指してやっていきたい」。快進撃はまだまだ終わらない。

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